私は、実際にVYMとSPYDに400万以上ずつ(2022年3月時点)投資しています。
投資判断をする際には、主要な米国株ETF(VOO, VTI, SPYD, VYM, HDV, VIG)は徹底的に比較検討しました。
今回は、筆者が投資時に確認した比較検討ポイントを比較結果と合わせて解説します。
VYMとVOOの徹底比較【特徴】

VYMとVOOは、特徴こそ違えども、銘柄数・資産額・経費率のどれをとっても最優良級の米国株ETFです。
従い、どちらが正解・間違いということはありません。
ご自身の投資目的を明確にした上で、目的に適う方を選ぶというのがポイントになります。
将来の資産形成に向くVOOと、現在の日常生活を豊かにするVYMと分かりやすく覚えて頂ければ幸いです。
VYM | VOO | 勝者 | |
設定年 | 2006年 | 2010年 | VYM |
銘柄数 | 400銘柄 | 500銘柄 | VOO |
資産額 | 5,363億ドル | 4,436億ドル | VOO |
経費率 | 0.06% | 0.03% | VOO |
総リターン* | 12.7% | 13.2% | VOO |
配当利回り | 2.5〜3.5% | 1.8〜2.0% | VYM |
増配率** | 8.93% | 8.95% | VOO |
*(2011年〜2019年)配当込みリターンの年平均 | |||
**(2013年〜2018年)の年平均 |
トータルリターンの比較

上記のグラフは2011年から2019年までの期間における、VOOとVYMのトータルリターン(値上り+配当)を比較したものです。
期間によってはVYMのリターンが勝る場面もありますが、長期的にはVOOのリターンが最終的にVYMに勝る傾向になります。
上述期間の各ETFのリターンは、VYM(191.6%) に対してVOO(205.6%)となっております。
その差は14%であり、1,000万円投資していれば140万円となる計算です。
やはり、複利の力は侮れず、投資期間が長期になるほどトータルリターンの差は拡大して行きます。
インデックス指標連動のパッシブ運用がトータルリターンでは最強だと再認識させられる結果ですね。
若年期に老後に向けた資産形成を行いたい方にとっては、VOOは最有力の選択肢の一つと言えそうです。
配当利回りの比較

2012年から2019年までのVYMとVOOの配当利回りを表にまとめました。
VYMが一貫してVOOに約1.0%の差をつけて配当利回りでは優位に立っています。分かりやすくグラフにしたものが下記になります。

同額をVYMとVOOに投資するなら、VYMの方が毎期確実に配当金を多くもらえます。
配当金がある程度まとまった金額に成長してくると、生活費の一部やその全てを賄えるので、日々のキャッシュフローが改善する(経済的に豊かになっている実感を持てる)というのがメリットですね。
例えば、毎月10万円の配当金を目標にするなら、VOOでは約7,900万円が必要になります。
VYMでは約4,300万円程度でも目指すことが可能であり、1.0%+αの配当利回りの差が配当金生活に大きなインパクトを与えることが分かります。
(注記:VOOはドルコスト平均法積み立て、VYMは利回り3.5%超えで買い増しの前提)
増配傾向の比較
増配率が高いほど将来のキャッシュフローにプラスに働きます。長期投資家にとっては増配の傾向は確認しておきたいポイントになります。
2019年はVOOとVYMの増配率の差が極端な外れ値になったので、2013年から2018の期間での増配傾向を参考に視覚化しました。
VOO増配率(累計)−VYM増配率(累計)を増配率差としています。

VYMおよびVOO共に綺麗な右肩上がりの増配線を描いています。理想的な増配傾向です。
増配率はVOOの方が全体として優位な傾向ですが、VYMの配当利回りの優位性を逆転するほどではありません。
VOOの増配率は年平均で約8.95%ほどです。この増配率で2.0%からVYMと同水準の3.0%の利回りに達するには約5年かかります(当然この間にVYMの利回りも成長します)。
増配傾向に関して言えば引き分け(どっちも素晴らしい)と言えそうです。
比較結果まとめ
あなたが向いているのはどっち?
上述の比較検討を踏まえるに、VOOとVYMのどちらが向いているかは、将来的な資産形成(リターン最大化)と日常生活の豊かさ(配当金最大化)のどちらを優先するか次第だと言えます。
繰り返しですが、どちらが正解ということはないので、両方保有する投資家もいます。
VYMが向いている人
『現在の給与所得にプラスして毎月●●万円が欲しい』という目標がある人です。
例えば、『毎月5万円の追加収入で子供の教育費を賄いたい』というケースが該当します。
定期的な支出に対して配当金は相性が良いのです。
配当金が増えるたびに、食費・電気代・通信費・家賃と少しづつ生活費を賄える範囲が広がっていくのがVYM投資の楽しみです。
この感覚に共感出来る人が、VYM投資に向いていると言えます。
VOOが向いている人
『生涯リターンを最大化したい』という目標がある人です。
例えば、『サラリーマン生活を継続しながら引退後資金をさらに増やしたい』というケースが該当します。
また、『今は明確な目的がないけど、とにかくお金を増やしたい』という人もVYMよりVOOの方が向くでしょう。
筆者がVYMを選んだ理由
筆者の投資目的は早期の経済的自由(FIRE)の達成です。
従い、配当金>生活費の状態の限りなく早い達成が最重要の目的なのです。
この投資目的を踏まえて、リターンの最大化を諦めても目的達成の速度を優先するという判断をしました。
配当金>生活費が実現出来た暁には、資産形成を強化するためにVOOにも投資をしたいと考えています。

今からVOOとVYMの両方に投資するのは駄目なのかな?
勿論、駄目という訳ではありません。
私は30代での経済的自由達成を目的にしているので、とにかく配当金>生活費の早期実現を優先する投資スタイルをとっていますが、NISA枠ではリターン優先でeMaxis Slim全世界株式(オール・カントリー)や楽天VTIを購入してます。
人によって両刀でポートフォリオを組むのはアリかと思います。
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