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投資の基礎基本である『分散』について説明されている中で、ポートフォリオの一部をヨーロッパ地域へ分散する方法としてSX5Sという欧州ETFが紹介されていました。
経費率が0.05%と格安であり、確かにこの年間費用で(米国を除く)先進国株の大部分を占めるヨーロッパ地域に分散投資できるのは非常に魅力的です。
しかし、調べた結果日本人がSX5Sに投資することはほぼ不可能であることがわかりました。
この金融商品はヨーロッパ居住者向けに販売されているETFで、日本の主要な証券会社はおろか米国の証券会社からもアクセスができないからです。
日本居住者が開設できる証券会社だとInteractive Brokers (IB証券)のみで取扱いがあるようですが、
IB証券は利用に最低入金金額(100万円程度)があるほか、運用資産が1,100万円以下の場合は毎月10〜20米ドルの口座維持手数料が発生します。このハードルを超えるのは至難。つまり、普通の日本人はSX5Sに投資できません。
考えうる代替策は3つです。
①は全く同じ株価指数に連動する他社(State Street)のETF。②は別の欧州株価指数に連動するETFです。
③は皆さんが知るオルカンが有名ですね(地域別にバラバラに買ってPFを作らなくても、まとめ買いして欧州も取り込めば良いという考え方です)。
SX5Sについて簡単に解説した後、①〜③がどう代替策として機能するのかを説明していきたいと思います。
SX5Sの概要解説
SX5Sは正式名称をInvesco EURO STOXX 50 UCITS ETFと言い、ロンドン証券取引所、ドイツ証券取引所、イタリア証券取引所、スイス証券取引所に上場しているETFになります。
そして、このETFは欧州諸国の証券会社でしか取扱いが許可されていないので、日本はおろか米国でも取引がされていません。
このETFはEURO STOXX 50 Indexというベンチマークに連動します。欧州地域の代表銘柄50を時価総額で加重平均し、指数化しています。欧州版S&P500と考えれば良いと思います。
ベンチマークの中身(国構成/セクター構成/上位銘柄)は次の通りです。
国別構成比率

セクター構成

上位銘柄
銘柄名 | 保有割合 | 備考 |
ASML Holdings | 8.35% | オランダに拠点を持つ半導体企業 |
LVMH | 5.88% | ルイ・ヴィトンを展開するフランス企業 |
Linde | 4.73% | ドイツのエンジニアリング企業 |
SAP | 4.08% | ドイツのソフトウェア会社 |
Total Energies | 3.72% | フランスのオイルメジャー |
Simens | 3.55% | ドイツの交通・情報技術・防衛分野の巨人 |
Sanofi | 3.10% | フランスのバイオテクノロジー企業 |
L’OREAL | 3.07% | フランスの化粧品会社 |
Schneider Electric | 3.00% | フランスの世界的な電気メーカー |
Allianz | 2.76% | ドイツの保険会社(世界有数の機関投資家) |
【代替策①】FEZ (SPDR EURO STOXX 50 ETF)
FEZはEURO STOXX 50 Indexに連動するETFで、State Street社が運用しています。ベンチマークが同じなのでSX5Sと同じ値動きをします。
そして、このETFはSBI証券や楽天証券でも取引可能となっております。『とにかくSX5Sと全く同じものに日本から投資したい』という人には有力な代替策と言えるでしょう。
注意点としては、経費率の違いです。SX5Sは0.05%と非常に低コストなETFでしたが、FEZの経費率は0.29%であり、低コストに分類するのは難しい水準です。
再現度の観点では、同じベンチマークに連動するFEZは最有力ですが、コスト面で難のある選択肢です。経費率0.29%が許容範囲で、再現度にこだわる人は、このFEZが良い代替策になるでしょう。
【代替策②】VGK(Vanguard European Stock Index Fund ETF)
VGKは日本でもお馴染みのVanguard社が運用する欧州系ETFです。こちらもFEZ同様にSBI証券と楽天証券で取引ができます。
ヨーロッパ地域の代表企業に分散投資するETFという点では、SX5Sと同じですが、ベンチマークが異なります。VGKは FTSE Developed Europe All Cap Indexに連動します。
VGKは1,357銘柄に投資します。分散度ではFEZよりもVGKの方が高いですね。
再現度ではFEZに劣りますが、魅力はなんと言っても経費率が0.08%と低コストであることです。『欧州地域に低コストで分散投資できればSX5S出なくても気にしない』という方には、おすすめの代替策になります。
トータルリターンでもVGKは有力な選択肢です。
VGKのリターン(FEZとの比較)
VGKの年間平均成長率(2010年〜)は約6.0%で、FEZの約3.8%に対して優位性を示しています。

VGKの国別構成比率

VGKの上位10銘柄
銘柄名 | 保有比率 | 備考 |
Nestle SA | 2.95% | 日本でもKitKatやコーヒーで有名なスイス企業 |
ASML Holding | 2.40% | オランダの半導体企業 |
Roche Holding | 2.23% | スイスの製薬・ヘルスケア企業 |
LVMH | 1.58% | ルイ・ヴィトンを展開するフランス企業 |
Novartis AG | 1.39% | スイスの国際的なバイオテクノロジー企業 |
AstraZeneca | 1.39% | 英国の製薬企業(コロナワクチンも開発) |
Novo Nordisk | 1.37% | デンマークの国際的な製薬企業 |
SAP | 1.20% | ドイツのソフトウェア会社 |
Siemens | 1.00% | ドイツの交通・情報技術・防衛分野の巨人 |
Diageo plc | 0.96% | 英国の酒造メーカー |
【代替策③】eMAXIS Slim全世界株式シリーズ
『欧州地域にだけ投資をしたいんだ』という人は少数派かと思います。SX5Sに関心を持たれた方は、ポートフォリオの地域分散を深化させる手段として考えられてるのではないでしょうか。
もし、『理想とする地域分散の完成形』が既に投資信託やETFで存在するなら、欧州ETFを個別に買って自分でポートフォリオを再構築する必要はありません。
自分の理想とするポートフォリオがeMAXIS Slim全世界シリーズに近いなら、それを初めから購入するのがベストな代替策となります。
髙橋ダンさんのコメントで重要だと個人的に感じたのは、『全世界株式ETFでも中身の半分以上は米国株式で実質的には分散になってない』との指摘です。
髙橋ダンさんが、SX5Sをはじめとした地域ETFを購入して、自分でポートフォリオを構築することを勧められたのは、この『中身をきちんと意識しなさい』ということだと理解しています。この姿勢は私も大変共感しております。
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)が実質的にあまり分散されていないと考えるのであれば、eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)というのも有力な代替策です。
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)は先進国・新興国・日本に33.3%づつ分散投資します。米国は先進国に分類されますが、全体では24.0%程度に比率が低下します。

もし、この比率が不満なら、やはりVGK等を利用して自分の理想とする地域比率のポートフォリオを自作していくということになりますね。
もっとも無理に欧州に分散しなくても、グローバルに強い米国企業に投資をしていれば世界中の富の成長の恩恵にあずかることができるという考え方もあります。
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