②年収1,000万円は経済的に豊か?
③金融資産1億円は裕福か?
Financial Independence, Retire Early(FIRE)が近年日本でもブームです。
生活支出を抑えつつ、投資により仕事以外の収入源を確保する。投資収入で生活費の一部(または全て)をカバーすることで、定年より前に仕事をリタイアする活動。
FIREとは何か
『今の生活で精一杯で、老後生活も見通せないのに。FIREなんて自分には関係ない。仕事を辞めるなんて無理』と考える人もいるかも知れません。
そんな人にこそ、FIREを知ってもらいたいです。なぜなら、FIREの本質である『経済的自由(Financial Independence)』に、多くの日本人の経済的な悩みを解決するヒントが隠されていると思うからです。
冒頭の質問全てに、皆さんは自信を持って回答出来ましたでしょうか?
日本人の90%以上は、生活にゆとりを感じず老後も不安
日本銀行が四半期に一度、『生活意識に関するアンケート調査』を実施しています。この日本銀行の調べによると、2021年9月時点で生活にゆとりを感じているのは、わずかに7%程度です。
つまり、日本国民の大半は自分達が経済的に裕福であると感じていないのです。また、約4割の人達が『生活にゆとりがない』と感じているのです。

そして、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、日本人の8割以上が老後に不安を感じているとのことです。

色々な機関が同じようなアンケート調査を行っていますが、8割〜9割の日本人が老後不安を感じているという点で共通しています。
日本人の賃金が長年伸び悩んでいるとはいえ、世界的に見れば、まだまだ高収入の部類に入ります。加えて、日本の物価も欧米先進国に比べれば、決して高くありません。
それにも関わらず、なぜ日本人の圧倒的多数が、何らかの経済的不安を抱えているのでしょうか?どうすれば『裕福』な状態にたどり着けるのでしょうか?
年収1,000万円や金融資産1億円は『裕福』なのか?
日本では『お金持ち』という言葉に対して、年収1,000万円や金融資産1億円など金額を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
では、年収1,000万年や金融資産1億円があれば、経済的な不安はなくなり、『自分は豊かだ』と本当に感じることが出来るのでしょうか。
私の周りには年収1,000万円以上の人がちらほらといます。しかし、全員が経済的に余裕を感じている訳ではありません。それどころか、世間一般と同じように『将来が不安』という人が少なくありません。
さらに驚きなのは、金融資産1億円あっても安心出来ない人も見かけます。彼らは一様に『もっとお金が必要』というのです。
これは興味深いです。そして、私達が年収や金融資産を目標にしていても経済的な不安は無くならない可能性を示唆しています。
つまり、経済的な不安を取り除きたい、ましてや裕福になりたい人にとって年収や金融資産を目標にするだけでは、何か重要な観点が欠けているのです。
日本人の経済的不安の正体
結論からズバリ。(明日から全ての収入が絶たれるとして)手元のお金でどれぐらいの期間生きていけるのか分からない。これが全ての根幹にあると私は考えています。
年収がいくら高くても、それがストップした瞬間に、数ヶ月しか生活が成り立たないと当然不安でしょうし。金融資産1億円でも、年間生活費が1,000万円の家庭なら10年しか持ちません。
収入や金融資産が絶対的に高くても、生活支出に対して相対的に大したことがなければ、人はいつまでも経済的自由にたどり着けないのです。
私が考える、真の『お金持ち』、経済的に豊かな人生を送っている人は経済寿命(収入ゼロで生きていける期間)が長いのです。
この経済寿命が長いか短いかは、年収や金融資産だけでは計ることが出来ません。年収1,000万円や金融資産1億円の人でも、経済的な豊さを感じることが出来ない原因はここにあると私は考えています。
【FIREから学ぶ】日本人の経済的幸福度を高めるたの方策
FIREの本質は経済的な安定です。経済寿命が自分の寿命を超えたら、もう今後1円も収入がなくても死ぬまでお金に困らない。だから、働かなくても良いというのは、あくまで結果に過ぎません。
この経済寿命を如何に長くするかを一生懸命考えて、取り組むのがFIRE活動であり、ここから学べることがたくさんあるので、その知恵をご紹介します。
以下の原則を念頭に、私が実生活で取り組んでいたことは、以下の記事でまとめています。
【FIREから学ぶ】金融資産➗年間支出(経済寿命)を意識
経済寿命が重要であることは上述の通りです。経済寿命は次の式で算出できます。
例えば、金融資産が1,000万円で年間支出が250万円なら、その家計の経済寿命は4年間です。年間支出が100万円なら経済寿命は10年間に伸びます。
当然ですが、質素倹約が出来ている家庭の方が、経済寿命は長いです。そして、金融資産が何億円あろうが比例して年間支出が多ければ、永遠に経済寿命は短いままです。
経済的な問題を解決するためには、いくら収入や金融資産が多くても駄目です。結局のところ、『支出』を突き詰めることでしか経済的不安は取り除けません。
『お金に困っている』という人ほど、なぜか、裕福な人よりも携帯料金などの支払いがガバガバです。携帯料金が良い例ですが、生活の質を落とさずに節約できれば、犠牲にするものなく経済寿命を伸ばすことが出来ます。
年収や金融資産がに変化がなくても、心理的幸福度は間違いなく改善するはずです。
【FIREから学ぶ】貯蓄率を管理しよう
経済寿命は自分の状況を客観的に分析に有用な指標です。つまり、日々の積み重ねの結果を知るのに役立つ訳ですね。
それでは、この結果に行き着くためには、何を目標指標に行動を変えて行けば良いのでしょうか?個人的には毎月の貯蓄率を目標設定して、実現できるように行動を調整していくのが良いと思います。
貯蓄率は、『FIRE最強のセミリタイア術』や、米国のお金持ちの実態をまとめた古典的名著である『となりの億万長者:成功を生む7つの法則』でも繰り返し登場する指標です。
貯蓄率は、毎月の手取り収入から、どれくらいの割合を貯金に回せているかを表した指標です。例えば、毎月の手取りが20万円の人が毎月2万円を貯金に回した場合、貯蓄率は10%になります。
貯蓄率がなぜ重要なのかと言うと、貯蓄率が高い家計は、収入や金融資産に対して支出が絶対的に少ないこと(収入が減少しても生活できる)を意味しているからです。これは、経済寿命と考え方が良く似ています。
この貯蓄体質を継続した家計が、経済的寿命の長い家計になるのは想像に難くないですよね。
私は、貯蓄率10%をまずは目標に、徐々に無理のない範囲で、この数字を大きくしていくのが良いと思います。
経済的な余裕は、貯蓄率(経済寿命)が全てです。金融資産がいくらあろうと、貯蓄率(経済寿命)が低ければ永遠に現在地が進むことはできないのです。
繰り返しながら、これがいくらお金があってもなくても、日本人の将来への不安が尽きない理由です。
貯蓄率を安定させる最も簡単且つ確実な方法が、生活コストを下げていくことです。これはまさにFIREの根本的な考え方であり、私が20代で高い貯蓄率を維持している理由です。金融資産1,000万円や3,000万円は結果に過ぎません。
今では、明日仕事を辞めさせられても、収入ゼロがしばらく続いても困リません。これは、生活コストを十分に抑えており貯蓄率が高い家計になっているからです。
また、生活コストが低いので無理に高年収の仕事にしがみ付く必要もありません。これが、経済的な余裕という奴の正体だと思っています。
この域に達してからは、仕事やプライベート全般でストレスが減り、精神的幸福度が格段に高まりました。
因みに、私は年収1,000万円もありません。コスト管理型で資産形成したタイプです。なので、日本で上位数%に当たる年収がなくても、将来の不安を取り除くことは可能だと信じています。
【FIRE】のハードルが高いと感じたら
完全FIREは長き道のりで、なかには途中で心が折れそうだと感じる人もいるかもしれません。しかし、FIREとは人生をより自立したものに変えていくプロセスであり、ゼロか百かではないのです。FIREも様々な種類があり、自分の環境や現実に合わせてより手触りのある形で取り組むことが実は可能です。もし、自分には完全FIREが困難と感じる人がいればサイドFIREという道もありかもしれません。こちらのウィングさんの記事が分かりやすくおすすめです。
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