配当王銘柄 (米国株)VS S&P500

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【本記事を読むと分かること】
①米国の配当王銘柄(41銘柄)
②配当王銘柄には割安株が多い
配当再投資でS&P500を超える
④ジェレミー・シーゲルの研究は今も通用!

配当王銘柄とは連続増配を最低でも50年間継続している米国企業のことです。日本で連続増配年数が最長なのは花王で31年間のため、日本版の配当王銘柄は存在しません。

一方で、米国は1776年に誕生した若い国ですが、2022年3月末時点で合計41もの配当王銘柄が存在しますS&P500に名前を連ねるのは米国を代表するエリート企業ばかりですが、その米国最強企業グループの平均寿命は2020年時点で約21年です(出典:Statia)。

そのような熾烈な環境で企業競争や金融危機を何度も経験しながら50年存続しているだけでもすごいのですが、これからご紹介する米国株41銘柄は50年以上絶え間なく配当金を増やし続けてきたのです

長期にわたり安定増配を継続するには、優良財務と高収益の確保が欠かせません。絶え間なく外部環境が変化していく中で50年以上もこのクオリティを維持し続けるのは化け物です。

これらの企業に投資をしていれば、資本主義の恩恵を安定的に受けられるのではないか。そのような期待から世界中の投資家を魅了してやまないのが、この配当王銘柄たちです

なお、配当貴族銘柄やバフェット太郎10種についても分析しています。

■本記事を書いている人
✅Twitter(@gonfox21)でも情報発信
✅20代で金融資産4,300万円達成
✅米国ETFで資産運用(SPYDVYMSCHDHDV

【配当王銘柄の数】2022年3月末時点では全部で41銘柄

現時点で最長記録を誇るのがAmerican States Water(連続増配年数:67年)です。また、日本人投資家の間でもお馴染みのP&G(65年)、Coca-Cola(60年)、Johnson & Johnson(59年)、Altria Group(52年)などが名前を連ねているほか、AbbVieやPepsiCoなどが近年仲間入りを果たしています。しかし、正直聞いたこともない銘柄が多いのではないでしょうか

S&P500の直近5カ年の株価上昇率は92.28%(2017年3月25日〜2022年3月25日)でした。同期間における配当王銘柄の株価上昇率は以下の通りです。株価上昇率でS&P500をアウトパフォームしているのが緑色でハイライトした銘柄達です。全体の83%は株価成長で市場平均をアンダーパフォームしています。つまり、配当王銘柄の全体的な傾向として、投資家からあまり注目されていない(期待値が低い)割安銘柄が多いです

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出典:yahoo Finance

なお、これはあくまで株価成長の話で、トータルリターンは全く別の話なので後段の『配当王銘柄39種 VS S&P500』で詳細に分析します。かかる詳細分析の前に株価でも力強さを見せた配当王銘柄7種の概要を簡単に紹介しておきます。

【配当王銘柄】American States Water

カリフォルニア州で米国政府の委託を受けて水道事業および電力事業を展開するインフラ企業です。

【配当王銘柄】Dover Corporation

1955年に設立され、現在は米国イリノイ州に本拠地を置く産業機器メーカーです。M&Aなどで事業分野が多角化されており、スーパーやコンビニで使われる大型冷蔵庫の開発・販売や石油・ガスの採掘から輸送等の場面で使用される機器なども製造しています。

シリアル番号管理やバーコードシステムなどのソリューションサービスなど新しい分野にも取り組んでいる米国のモノづくり企業です。

【配当王銘柄】Lowe’s

世界第二位の事業規模を誇るホームセンターです(世界最大は同じく米国企業でありVYM構成銘柄でもあるHome Depot)。本社は米国ノースカロライナ州にあります。米国に加えてカナダやメキシコにも店舗があり、家電・工具や室内装飾品からリフォーム資材(塗料、建材、床材)まで日曜大工に使える商品を幅広く販売しています。リフォーム業社も建築資材の調達先として重宝する企業です。

なお、Fortune 500に31位(2021)でランクインする世界的大企業(時価総額17兆円超)です。日本最大の総合商社である三菱商事の時価総額が7兆円といえば、規模が伝わるでしょうか

【配当王銘柄】W.W Grainger

オフィス用品や現場用品(ヘルメットやモーター、配管など)の販売を行う会社です。商品は598の実店舗やオンラインでの購入が可能です。日本で言うアスクルのような会社です。Fortune500では258位(2021)にランクインしています。

【配当王銘柄】Target

生活用品やアパレル、日用家電などを取り扱うディスカウントストアです。日本でいう無印良品みたいな企業です。全米に1926店舗を展開し、Fortune 500にも30位(2021)でランクインする全米屈指の小売店です(時価総額12兆円)。

【配当王銘柄】Abbott Labs

医薬品、診断製品、栄養製品、および医療機器の4つのセグメントで開発・製造・販売を手がける米国を代表する製薬・ヘルスケア企業。1888年創業で、現在はイリノイ州に本拠地を持ち130以上の国々で事業展開をしている。2013年に新薬開発事業をAbbVieとして分社化(スピンオフ)した。時価総額は約26兆円

【配当王銘柄】AbbVie

2013年にAbbott Labsの薬品事業部門のうち新薬開発事業が同社から切り離される形で誕生した製薬会社。同社は製薬業界の時価総額ランキング(2021)でJohnson & Johnson(米国)およびRoche(スイス)についで世界第3位約35兆円)につけています。2021年の売上高は約6兆円でした。

配当王銘柄(39種)VS S&P500

合併やスピンオフなどにより誕生した経緯を持つため株価情報が近年分しかないFamers & Merchants Bancorp(2018〜)およびAbbVie(2013〜)を除外した39の配当王銘柄を均等平均加重したポートフォリオ(*)をS&P500のリターンと比較しました。

計測期間は1993年1月1日から2022年3月25日です(約30年)。最初に$10,000だけ投資して、その後の追加資金は配当再投資のみで放置したら、30年後に資金がどれだけ成長したのかというバックテスト検証になります

(*)ポートフォリオの組み方・運用前提
【⭐️】1銘柄あたり2.56%ずつポートフォリオに組み込む均等平均加重を採用しています。端数はAbbott Labsに寄せて2.72%とする(合計:100%)。
【⭐️】株価の上下による銘柄比率の歪みについては、年1回リバランスをして元の比率に戻す。
配当王銘柄(米国株)
出典:Portfolio Visualizer

2022年3月25日時点の最終結果は、配当王銘柄(39種類)は$344,274に対してS&P500が$179,456になりました。なんと、株価上昇ではボロ負けの銘柄が多い配当王銘柄(39種)が市場平均を約1.9倍アウトパフォームしています

当初元本が$10,000でしたから30年間で市場平均では約18倍に、配当王銘柄(39種)のポートフォリオでは34.4倍になった計算です。市場平均も十分にすごいですが、配当王銘柄のパフォーマンスがいかに優れていたかが分かると思います。

  S&P500 配当王銘柄(39種)
年間平均リターン 10.37% 12.86%
最大下落率 ▲50.97% ▲35.37%
シャープレシオ 0.60 0.85

年間平均リターンで配当王銘柄(39種)が市場平均を約2.5%アウトパフォームしたと共に、この30年で最大の下落を記録した2009年のリーマンショック時にも配当王銘柄(39種)は相対的にダメージが少なかったのが見て取れます。S&P500よりもボラティリティが低いです。

また、リスクあたりのリターンを示し、運用効率の指標とされるシャープレシオでも市場平均を上回る0.85という結果になりました。おそらく、ほとんどの投資家が聞いたこともないだろう、お世辞にも人気とは言い難い銘柄が大きなウェイトを占める配当王銘柄(39種)が予想以上の成績を残しています。

この不思議な結果はどうして生まれたのでしょうか?

配当王銘柄(米国株)が市場平均をアウトパフォームした仕組み

配当王銘柄は見るからに成熟企業ばかりで、成長力や投資家人気で必ずしも存在感があるとは言えない銘柄ばかりです。実際に株価上昇率では市場平均に大きく見劣りします。

それにも関わらず総合的な投資リターンでは成長企業を含む市場平均をアウトパフォームする、感覚的には違和感を感じる結果をもたらす配当王銘柄の秘密は何なのでしょうか?

その秘密は、『割安な株価』と『配当』の組み合わせです。これらの企業は50年以上も増配を継続できる収益力と財務基盤を持ち合わせているにも関わらず、(注目度や人気は低いため)本来の価値に対して株価は過小評価されていることが多いです株価が過小評価されていると、配当再投資を通じて購入できる株数が雪だるま式に増加していきます株数が増えて行くと、比例してリターンも増幅されていきます。そして、過小評価されることによる高配当化が、その流れに拍車をかけるのです

そして、割安株は投資家期待が少ないので(株価は期待値で下駄を履かされていない)、ちょっとした良いニュースで株価が上がります。これも強みです。

過去の例で言えば、S&P500(1957-2003)の構成銘柄で最も高いリターンをあげたのが、時代遅れの象徴であるPhilip Morris(タバコメーカー)です。投資家の期待値が低く、割安な株価で放置され、配当再投資でのリターン増幅効果の恩恵も最も強く受けたことによるものです。

この仕組みが現代でも通用しているようです。

最後に

この検証の契機となったのが、ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』です。この著書は株式投資を行う上で示唆に富む考え方やデータをたくさん提供してくれているのですが、中でも個人的に感銘を受けたのが『成長の罠』という示唆です

<成長の罠>
■成長過渡期の企業は多大な期待により株価は割高になる
■新技術はやがて陳腐化し、利益への貢献は限定的(成長<期待)になる
■割安に置かれた成熟業企業の配当利回りは上昇する
配当再投資による複利効果で成熟企業のリターンが成長企業を逆転する

これを現代の配当王銘柄で同じ検証を実施したら、どうなるのかという興味関心から本記事が生まれました。『株式投資の未来』は、もう3回以上読んでいますが、読むたびに新たな気づきがあり毎回勉強になります。先進国投資 VS 新興国投資など、これから注目を浴びそうな論点なども本書で詳しく取り上げられており、これからも多くの投資家のバイブルとなる一冊でしょう。

筆者
筆者

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