<本記事の要旨>
【マーケット関連】
✔︎英国金融政策の無責任を嫌気した英国債売り
✔︎欧州の物価上昇が深刻
✔︎S&P500が年初来最安値を更新
【資産運用状況】
運用残高:$144,586→$131,882(▲8.8%)
運用益:$15,279→$1,284(▲92%)
さて、9月末時点の資産運用状況の報告を行います。2022年9月はS&P500が6月につけた年初来最安値を更新するなど非常にボラティリティの大きな株式市場となりました。政治面でも英国ではトラス新首相の発表した経済政策が波紋を呼んで株式市場に影響を与えるなど話題に事欠きませんでした。また、経済環境という意味では欧州のインフレが引き続き深刻です。株式投資家はFRBの利上げ政策に一喜一憂する局面であることから米国のインフレ動向に注意をさきがちですが、インフレの深刻度で言えば欧州が一番です。
このような環境下でVYM、HDV、SPYD、SCHDの米国高配当ETFを海外証券口座(運用残高は約1,900万円)で運用している私のポートフォリオがどのような動きを見せているのかを本記事で公開して行きます。なお、私は楽天証券ではインデックスファンドの積立投資を実施中ですのでこちらにも触れます。
2022年9月のマーケット振り返り
毎月の株式市場の注目といえば米国の消費者物価指数(CPI)の動向です。このインフレ情勢がFRBの利上げ判断に影響を与えるからです。株式市場の関心はFRBの利上げがいつまで続くのかという1点に集まっています。その判断に影響を与えるであろう経済統計の結果でその見通しを占う(結果としてボラティリティが高まる)ということを続けています。

8月の米国CPIは8.5%と高止まりを続けており、FRBは改めてインフレが2%程度に落ち着くまでたとえ景気後退と差し違えることになったとしても利上げを続けていく覚悟を鮮明にしました。このFRBの態度を見て、勝手に来年には利下げに転じると期待していた株式市場は見通しを修正せざるをえず、株はうられました。その結果として、S&P500は6月につけた年初来安値を更新することになりました。S&P500は8月末の終値で3,955をつけていましたが、9月末の終値は3,585.62であり1ヶ月間で9%以上の下げとなりました。

しかし、長期投資家にとってみれば足元のボラティリティはさほど大きな意味を持たないので、それよりも米国や欧州をはじめとする世界をリードする国々の動向を政治経済の両面からウオッチしていくことが重要でしょう。インフレは極めて大きな問題ですが、マーケットはいずれ慣れます。そうすればハイパーインフレにもない限り、それを所与のものとして動き始めます(前年比+8-10%は確かにインフレですが、この世界には前月比で同じだけ物価上昇が起きる国もあるので経済的な終わりとはなりません)。言い換えると、この世界には米国に代わる国が現状はないので、仮にFRBが金融政策で高インフレの常態化を食い止めることに失敗したとしても痛みは一時的なもので米国株式市場は引き続き大きな投資先の一つであり続けると思います。私が米国に投資を決めた時のストーリーラインを崩すものではありません。
私が気にしているのは、インフレ動向よりもインフレに起因する世界情勢不安です。情勢不安はやがて個別の社会不安につながり政治がポピュリスト的になったり、内政を安定させるために外敵を作る方向に流れる危険が高まります。それはイデオロギーなどでグルーピング化された陣営同士の対立に繋がり、これまで人類が100年程度かけて最適化したあらゆるインフラを壊すでしょう。金融インフラも例外ではありません。例えば、ロシア株はすでにあらゆる株価指数から取り除かれ、一部の中国株も米国株式市場から追放されています。こうした世界のあり方を変える政治的紛争の方が長い目でみれば遥かに深刻です。この状況をより悪化させる火種は欧州を中心に至るところに植わっています。
株式市場の成長とは本質的には投機的な数字上のゲームではなく、人間の経済的な営みが反映されていくものです。当然ながら世界が平和であり、協調的である方が好ましいです。この当たり前の原則に冷や水を浴びせるだけならまだしも国家間の関係を長期的に歪めてしまうニュースの方に私はより注意を払っています。
ポピュリスト的な政治判断の芽はすでに英国でも見られ始めています。トラス新首相は9月初めに大幅な減税と電気ガス料金の凍結(必要な予算は今後1年半で21兆円と見積もられる)を発表しました。この流れ自体は先月も触れた通りすでに見られている兆候でしたが、実際に発表すると急務であるインフレ沈静化に逆行する無責任な経済政策とのマーケット評価を受けて英国債が売られ、英ポンドは米ドルに対して史上最安値をつけました。この余波は世界中の株式市場にもおよび下げ相場に拍車をかけました。その後、中銀が英国債の一時的な買い入れを発表したり、減税は取り下げるなど事後対応に追われました。とはいえ、高インフレが続く中でもトラス政権の大きな政府の方針に変わりありませんし今後も火種となるでしょう。
英国をはじめとしてポピュリスト的な政策をマーケット関係者は無責任や不合理であると”無責任”な立場から得意げに批判するのですが、目の前に野垂れ死かけている国民がいる中で『お前を助けると、もっとたくさんの人が苦しむ。だから、国がお前を助けるのは不合理なんだ。自力でなんとかしろ』と声をかけられる政治家がどれだけいるでしょうか。民主主義においてそんな政治家に存在意義はあるのかという問題もありましす、政策レベルで合理的か不合理かなどと議論する話ではなく問題はすでに大きなジレンマを抱えて袋小路に入っているように見えます。行き着く先はどこなのか。ここを今後も見ていこうと思います。
米国高配当ETFの運用状況

2022年9月は米国高配当ETF(VYM・SCHD・HDV・SPYD)の配当金が振り込まれる月でした。全ての銘柄で増配が確認でき配当金をベンチマークとする戦略上はとても良い月でした。
しかしながら、株価の方はS&P500やNASDAQに負けないレベルで下げてしまいました。マーケットの振り返りで述べた通り2022年9月は株価にとって不調の月となりました。私のポートフォリオも例外ではなく含み益は過去最低水準まで低下中です(先月比で含み益が90%以上飛びました)。絶対金額にして200万円以上が蒸発した計算ですね。この調子で下げれば来月には含み損の領域に突入するかもしれませんね(なお、配当金まで含めて考えると私のPFは引き続き黒字ではあります)。
冒頭でも述べた通り、長期投資家であれば目先のボラティリティで一喜一憂しても仕方がありません。それよりも自分の戦略を再確認の上で上述の通り世界のあり方に影響を与えるような不穏な動きがないかどうかに注力をして現在のPF(戦術)を評価していく方が生産的であると私は考えています。今のところ特に脅威を感じていることはないので買い場を探りながら楽しく株式市場を見守りたいと思います。
インデックスファンドの運用状況

インデックスファンドも不調で現在は含み損の状況ですね。こちらは早く運用額を100万円に乗せられたら良いなと思ってコツコツと続けます。NISAは満額使うつもりなので、今年中には到達する予定です。

今回の記事が参考になった方は下記のバナーをクリックして応援してくれると嬉しいです。
コメント