<本記事の要旨>
【マーケット関連】
✔︎クリスマスラリーは観測されず
✔︎日銀の実質利上げ
✔︎S&P500は2008年以降で最悪の1年
【資産運用状況】
運用残高:$163,899→$158,309(▲3.4%)
運用益:$26,465→$19,382(▲26.8%)
12月末時点の資産運用状況の報告を行います。2022年はS&P500が最高値から20%以上を下げて終了(これは2008年以降で最悪の結果らしい)し、NASDAQに至っては33.1%下落するという忍耐が要求される1年でしたね。
このような環境下でVYM、HDV、SPYD、SCHDの米国高配当ETFを中心に2,300万円ほど運用している私のポートフォリオがどのような動きを見せているのかを本記事で公開して行きます。なお、私は楽天証券ではインデックスファンドの積立投資を実施中ですのでこちらにも触れます。
2022年12月マーケットの振り返り
12月のマーケット関連として、日銀のサプライズ利上げと12月の米国株式市場のセクター別騰落率を載せておこうと思います。
日銀のサプライズ利上げ
12月のマーケットの一番の話題は日銀の実質利上げであったと思います。日銀は長期金利を±0.25%に抑え込む金融政策(いわゆるゼロ金利政策)を採用していました。なお、長期金利は日本国債(10年)の利回りのことです。日本国債の利回りは、本来は市場原理(つまり日本国債の需給バランス)で決まるものなのですが、『日本国債の利回りが±0.25%に収まるように無制限に国債を市場から引き取る』ということを日銀はやっていました。
『なぜ日銀はこんなことするんだ?』と考えた方は素晴らしいです。それは企業の資金調達(借金)を容易にするためです。お金をたくさん借りて設備投資して経済を回してね、側面支援するよ!ということを日銀はやっていたのです。日本国債の利回りを低く抑えることが民間企業の資金調達支援になるのか?わからない方は以下の記事をご参照ください(金融の本質に関わる重要なポイントです)。
この長期金利のコントロール幅を±0.5%に広げるということを日銀がサプライズで発表しました。黒田日銀総裁は『これは利上げではない。イールドカーブコントロール(YCC:日本国債の利回りを意図的な水準に抑え込むこと)の持続可能性を高める措置だ』という説明をしましたが、金融市場は実質的な利上げであるとの反応からドル円が円高に動いたほか、米国債などの先進国の長期国債利回りが共鳴するような形で上昇に転じました。
138円付近で推移していたドル円が一瞬で132円を割り込みました。

そして、2023年4月の黒田日銀総裁の任期満了が見えてきている中で日銀がイールドカーブコントロール(YCC)を撤廃するのではないかという見方も広がっており、(数ヶ月前まで1$=200円の超円安時代が来るなどんお報道もあった気がしますが)120円台の円高方向へ動くとの観測もちらほら聞こえます。

YCCの撤廃が囁かれる最たる理由は日本国債のイールドカーブの歪みです。イールドカーブは横軸に年限、縦軸に利回りをプロットした曲線になります。国債利回りは基本的に償還期間に比例して高くなります(例:5年債よりも10年債の方が利回りが高い。なぜなら、5年後より10年後の未来の方が不確実なので貸し手はより大きな見返りがないなら貸したくない)。しかし、上の図をご覧頂くと8年、9年よりも10年債の方が利回りが低くなっています。これがいわゆる逆イールドというやつで、日銀が10年債利回りを0.25%以内に収まるように国債を買い入れて需給バランスをコントロールしていたために、このようになっています。これが市場原理が歪められているという状態です。
YCCのメリットとしては、(1)日本政府の利払負担軽減(2)民間企業がお金を借りやすくなる(詳しくはこちら)が挙げられますが、デメリットは需給で金融条件が決まる市場原理を歪めることにつながります。
歪みが爆発した時に何が起きるのか、歪んだ環境にマーケットが慣れてそれを前提とした金融が構造化されていく場合にどのような悪影響があるのか。この問いに対して明快な答えはありません。それゆえに、いつまでYCCを続けるのか(引き際がどこなのか)というのが日銀のみならず市場関係者が気にするところでした。少なくとも欧米先進国で未だかつて行われていないのは、引き際を間違えれば悪影響の方が大きいと一般に考えられているためです。
そして、2022年6月末時点で史上初めて日本国債の日銀保有割合が50%を突破しました(出典:ロイター)。先進国で中央銀行の国債保有比率が過半数を超えている国は他にありません。今のところ、日本国民の生活に大きな影響はありませんが、これを60-70%と拡大していくことに本当に問題はないのか?こればかりは誰にもわかりません。それゆえに、そろそろ引き際なのではと考える人が増えてもおかしくありません。
日本が経験してきたデフレはそれ自体が珍しい経済現象ですし、それが20年以上も継続した事例は存在しません(慢性的な高インフレに悩む新興国は多いんですけどね)。それゆえに明確な処方箋がないのが辛いところです。
米国株式市場の1ヶ月のパフオーマンス
12月の米国株式市場のセクター別パフォーマンスは以下の通りです。真っ赤かな全体像から分かる通り、期待されたアノマリーであるクリスマスラリーは特段観測されずでしたね。ワースト3は上から順に①一般消費財、②テクノロジー、③通信となっています。

対照的に比較的耐えているのがヘルスケアや公益セクターという12月でした。年が変わる2023年1月以降の相場がどのようになるのか今から楽しみですね。しばらくはFRBの政策金利動向が引き続き主役であり、そこに企業業績動向というファクターが加わることでボラティリティがさらに大きくなるのではないかなと個人的には想像しています。
2009年以降、金融市場は本当の意味で調整を経験しています。少し大きな下げがあった際にはFRBが助けてくれました。しかし、インフレのマグマが火山口から顔を出し、バランスシートが既に肥大化しているFRBの支援は当面期待できない局面です。自分の身は自分で守るしかないという一昔前なら当たり前の相場がやってくるかもしれません。想像力を最大限に働かせてリスク管理をおこなってきましょう。2009年以降、世界の中央銀行はほぼ一貫して金融緩和を推し進めてきました。それゆえに、私たち投資家はブレーキなしでアクセルを全力で踏み込むことに慣れきっています。
本当にそれでいいのか?金融の本質を理解していれば『弾けないバブルはない』こと、人類史を学んでいれば『人はバブルの真っ只中ではバブルをバブルと認識しない』ことは限りなく真理です。
私の資産運用の中心である米国も慎重に接するべき対象として扱うべきで、例外ではないと考えています。例えば、今でこそ日本株式市場はオワコン扱いですが、1990年代はNTTが時価総額でAT&T、IBM、エクソン、GM、GEを全部足したものを上回る時代がありました。
ことの顛末を知っている我々は、これをバブルと表現します。しかし、当時はこれらの株価をあらゆる角度で正当化する説明で溢れていましたし、日本の経済成長は今後も永続的であり、日本株式市場にベットしないなんて機会損失であると大半の人間が思っていたのです。バブルとはそういうものです。
そして、日本はだめ、欧州もだめ。米国だけが特別という状況です。『長期的には株式市場は右肩上がり』というのは15-20年のスパンをイメージする方が多いと思いますが、これは米国様の実績ありきのストーリーです。
そして、『長期的には株式市場は右肩上がり』を所与だと考える人間が増えれば増えるほどバブルの懸念は高まると思います。米国がそうだとは言いませんが、バブルであるならば、それが弾けるまではバブルは最強の市場を演出することも肝に銘じたいです。私は『長期的には株式市場は右肩上がり』をベースケースとしつつも、予想が外れた時に人生設計の変更が必要とならないようにワーストシナリオを置いて資金管理もしていこうと思います。
米国高配当ETFの運用状況

前述したとおり、クリスマスラリー(12月は株価上昇が起きやすい)というアノマリーは発動せずに2022年は締まるという結果になりました。
私の米国高配当ETFポートフォリオは比較的健闘(HDVは前年比でプラス圏で着地)したものの、12月は前月比でマイナスとなりました。運用残高は$158,309(前月比▲3.4%)、含み益は$19,382(前月比▲26.8%)です。
マーケット全体で見ると、年間通じた騰落率は次のような数字であったようです。S&P500の騰落率は最高値から見ると20%超の下落となるようです。
S&P500 | NASDAQ | ダウ平均 |
▲19.4% | ▲33.1% | ▲8.8% |
要すれば、ハイテク銘柄が戦犯という相場だったわけですね。ハイテク銘柄が少なめのダウ平均とは対照的です。四半期ベースでより細かく見たのが以下の図表となっています。S&P500とダウ平均が第4四半期にはプラスリターンで少し回復しているのに対してハイテク偏重のNASDAQは最後まで四半期ベースでプラスを記録出来ずに一年を終えました。

この結果を見るに、2022年の相場は無風の人と大ダメージの人で二極化していそうですね。一番辛かったのはハイテク銘柄のポートフォリオでフルインベストメントしていた人です。オールド銘柄が多めの私のようなポートフォリオでドルコスト平均的に運用資産を増やしていた人は普通に利益が上乗せされる相場であったように思います。私も配当金を含めたトータルな利益はプラスで着地しています。
私は理論も基本は抑えますが、米国であれ全世界であれ株式市場の未来を完全に信じているわけではないので長期運用を前提にストレスを自分にかけないように少しづつ運用資産を増やしていこうと思います。
インデックスファンドの運用状況

淡々とeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)を毎月10万円ずつ積み立てしています。12月の続落や円高を受けてついに含み損になってしまいました。ドルコスト平均効果で買付金額は可もなく不可もなくの水準に落ち着くはずで、いずれは含み益に戻るだろうと楽観的に見守ろうと思います。
毎月10万円は楽天証券で設定中です。もし、楽天証券をご利用の方がいれば下記の通り、楽天ギフトカード購入を利用した楽天キャッシュ積立が還元率も高くおすすめです。

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