投資を始める前に必要な基本知識【学習後は実践に移ってOKです】
最近は国や企業が国民の老後を面倒見れない(だから投資しなさい)と公言するなど時代の節目を迎えつつあるように思います。
実際に、NISAやiDeCo制度の後押しもあり、少しづつですが貯蓄一辺倒であった日本人のお金に対する向き合いかたに変化が表れて来たと感じます。
筆者も2016年から投資を本格的に学び始め、3年後の27歳で資産1,000万円を実現しました。
貯蓄一辺倒の日本人が置かれている立場が非常に厳しいのは事実です。
賢明な人は、日本のような成熟国で豊かな生活を維持するためには、投資が必要だと気づき始めています。
一方で、実際に始める段階になって『何をすれば良いか分からない』と混乱してしまったり、『損をしてしまったらどうしよう』と恐くなる人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、実際に投資して経験を積む以外にこの悩みを解決する方法はありません。
プールサイドで泳ぎ方の研究をいくらしても、自分にその泳ぎが適しているのか、正しく泳げるのかは判断がつきません。
水泳初心者が①基本の泳法②溺れるリスクの防ぎ方を学習したら、後は泳いでみるのが一番です。
投資で言うところの、①投資の原則②資金管理の2つをきちんと理解できたら、後は実際に投資を始めてみるのが良いでしょう。
本記事では、この①投資の原則②資金管理を解説します。
投資は分散が全て
株式投資をする人もいれば、債券投資をする人もいる。
このように一口に「投資」と言っても、種類や対象が無数にあるので初心者は尻込みしてしまいます。
投資の敷居が高止まりしているしている理由はここにあると筆者は感じています。
しかし、大切なことは『何を買うか』という投資の枝葉の部分に拘泥するのではなく、投資の幹の部分である『長期・積立・分散の原則』をきちんと理解することです。
この順番を反対にしてしまうと、なんで(根拠・理由)の部分が抜け落ちてしまうので投資が難しく感じてしまうのです。
何に投資するかは個人の経済状況や好みによるところですが、この『長期・積立・分散の原則』から外れないことがまずは大切です。
長期投資の原則とは
三原則のうち、まずは『長期』の意味を理解しましょう。
貯蓄しか知らない日本人の多くが、投資=値動きの差で儲ける金融ゲームだと勘違いをしています。
これは投機であり投資ではありません。
投資とは複利の力で資産を増やしていく金融戦略のことです。
この戦略を実現するのに『株式が良いのか、債券が良いのか、不動産が良いのか』について投資家の意見は分かれますが、この原則に異論を唱える人はまずいません。
複利の力とは、投資利益が更なる利益を生んでいく仕組みのことです。

例えば、100万円の元本に毎年5%の利息がつくとします。
1年後には100×(1+0.05)=105万円になります。つまり5万円が増えたことになります。
2年目はいくらに増えているでしょうか? 100+5+5=110万円でしょうか?
正解は110万円3千円と僅かに110万円よりも多いです。なぜなら、1年前に増えた5万円に対しても5%の利益が発生するからです。
当然のようですが、当初は存在しなかったお金(5万円)からお金が生まれているといのはとても強力な仕組みです。
そして上のグラフを見て気づいて頂きたいことがもう一点あります。
それは利益の増え方が年数を経るごとに勢いを増している点です。具体的には次のようになります。

投資から5年目では複利運用も単利運用も2万6千円の違いしかありません。しかし、この運用を15年続けると32万9千円まで膨れ上がります。
これは同じ利回りの投資でも長期間に渡って投資する方が、その増え方も大きくなるということを示しています。
つまり長期運用と複利の力が組み合わされた時に、投資は本来の力を発揮するのです。
投資とは値動きに一喜一憂して短期売買で儲けるものではなく、この特徴を最大限活かすことを考えるのが原則の1つ目なのです。
ポートフォリオの組み方(資産の分散&地域の分散の原則)
次に考えるべきことは、長期運用に耐えるためには何が必要かと言うことです。
例えば、同じ5%の利回りを目指せる投資が2種類あったとします。
あなたならどちらを選びますか?
A:ピカピカの優良企業A社(利回り5%)の株に1点投資
B : 様々な株や債券を組み合わせて全体で5%の利回りになるようにする
投資家であればBを選びたいところです。
大切な卵は1つのカゴに全て盛るのではなく、いくつかのカゴに分けて入れなさい、とユダヤ人の家庭では教えられるそうです。
これは同じ5%でも1点集中しているか分散されているかでリスクが全然違うからですね。
絶対安全の優良企業とされていた東京電力も原発事故でその盤石とされた基盤は脆くも崩れ去りました。
投資初心者はよく、『何を買えば儲かりますか』と聞きたがります。そんなの誰にも分かりません。
誰が東日本大震災から東京電力の失墜を正確に予測できたでしょう。
経験値を積んだ投資家が考えていることは、『何を買えば儲かるか』ではなく『どのように投資銘柄を組み合わせればリスクを極力減らして長期運用できるか』と言うことです。
そして、投資銘柄を分散させる時に見るべき軸が『資産クラス』と『投資地域』なのです。

株式・債券・リートという投資対象の種類を専門用語で資産クラスといいます。
そして、資産クラスはそれぞれ特徴が全く異なりますので、組み合わせることでバランスを図るのが資産クラスの分散です。
また、日本企業の株式にばかり投資をしていては、日本が壊滅状態になった時に共倒れしてしまいます。
外国企業にも投資をすることでこのリスクを減らそうというのが、地域の分散になります。
この2つの分散を意識して投資銘柄を組み合わせたものをポートフォリオと言います。
投資経験を積むと初めに理解するのが、投資は『何を買うか』ではなく『どんなポートフォリオを組むか』の方が100倍大事だと言うことです。
時間分散の方法(積立の原則)
『考え抜かれたポートフォリオを長期運用する』という原則を学んだ、あなたが最後に理解すべきことはお金の入れ方です。
同じポートフォリオを(例えば100万円)長期間運用するのでも、この100万円を一度につぎ込むのか、少しづつ分けて投入していくのか2通りの方法があります。

結論から言うと、一度に100万円を投資するのではなく、何回かに分けてお金を入れるのが最後の投資原則です。
長期間運用するにあたって一番恐いのは高値掴みをすることです(値動きはプロでも読めません)。
少しづつ分けて購入することで、期間中の平均価格でポートフォリオを構築出来るので高値掴みを避けることが出来ます。
これを専門用語でドルコスト平均法と言います。

上の表は1,000万円の投資予算を10年間に分けて100万円づつドルコスト平均法で購入した場合のシミュレーションです。
1年目に10,000円だった価格が2年目に半分に暴落し、10年間かけて元の価格に戻る場合を想定してみましょう。
1年目に1,000万円を丸々投資した人は悲惨な状況です。10年間ずっと何百万円の評価損を抱えながら最後には利益が無しです。

しかし、ドルコスト平均法で購入した人は5年目には収支がプラスに転じています。
この5年目時点でも市場は¥6,500と¥10,000から35%も下落したままですが、ドルコスト平均法では利益を出すことが出来ているのです。
株価下落局面で多くの株数を購入できるのがその理由です。
そして、10年目に株価が元に戻った時には420万円もの利益を出すことが出来ました。
忘れてはいけないのは、1年目に一括投資をした場合は収益ゼロで10年間含み損を抱え続けた事実です。
この状況で長期運用に耐えられる人は多くありません。
だから購入タイミングを分散することがとても大切なのです。
投資資金と貯蓄資金の分け方
『長期・積立・分散の原則』を学んだあなたは、もう実際に投資を始めるための知識武装は完了しています。
水泳で言うならば、プールに入って実技演習が必要な段階です。
もちろん最初から完璧にはいかないでしょう。しかし、後は泳ぎながら学ぶのが唯一且つ最善の学習方法です。
ぜひ勇気を持って1歩を踏み出してください!
ただし、勇気を持つのと無謀であることは全く違いします。
まず、最低半年分の生活費は別に準備しましょう(筆者は100万円程度は緊急の支出に耐えられるように分けて貯金してます)
そして、慣れるまでは少額から始めてください。
投資初心者にとって大事なことは経験値を積むことです。この経験値を積むことは100万円をつぎ込まなくても100円で十分に体験出来ます。
初心者は結局何から始めれば良いのか
ここまで本記事を読んでくださった方は、投資に関しての基本的な判断能力は十分に身についていると思います。
ただ難しいのは、初心者がいきなりポートフォリオを自分の力で組むと言う作業です。
なので筆者はインデックス型投資信託から投資を始めることをおすすめしています。
インデックス型投資信託の良いところは、それ自体が既にポートフォリオであることです。
そして、100円から少額で始めることが出来ます。
これなら難しい銘柄選択の作業は必要ないですし、投資の失敗で大きく火傷することなく経験値を積むことが出来ます。
ポートフォリオ自体を買うのは恥ずかしいことではありません。実際に多くの個人投資家はそうしています。
筆者自身もインデックス型投資信託でスタートして、今もポートフォリオ自体を購入するスタイルは一緒です(個別の株式や債券を自分で買ったことはありません)。
なぜなら、初心者・経験者に関係なくそれがベストだと信じているからです。
まとめ
本日は今回の結論をおさらいして締めくくりたいと思います。
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