資産形成の王道と言えば、インデックス投資の中心的存在と言えば、このVTIですよね。米国人の豊かな老後生活を支えているのもVTIです。
その魅力は何といっても、この1本で米国経済に丸ごと投資出来る点です。このレベルの銘柄分散は、資金的にも管理コスト的にも個人では不可能です。それが経費率0.03%という低コストで出来てしまう。
控え目に言っても、21世紀最大の人類の発明だと私は思います。ネット証券という投資インフラの整備と相まって、(一昔前は一握りの金持ちにしか許されてなかった)王道の資産形成に一般庶民でも気軽に取り組めるようになりました。
インデックス投資の強さは以下の記事でも解説した通りです。
✅米国株ETFと全世界株式インデックスで1,000万円以上運用中。
✅これまでに読んだ投資関連書籍は100冊を超える。
✅座右の銘『負けない投資(プラスサムゲーム)』
【VTI】基礎概要(株価・配当金・経費率)
VTIの正式名称は、Vanguard Total Stock Index Fund ETF。その名前が示す通り、米国株式市場全体に連動するインデックス・ファンドです。
こちらは『米国全体』ですが、『世界全体』の株式指数に連動するVT(Vanguard Total World Stock Index Fund ETF) と共に、インデックス投資家の人気を二分していますね。
VTIは『今後も世界全体が成長していく中で、特に米国株式市場がその勢いを牽引する』というシナリオを描いている方には、米国経済の成長に投資出来る、最適のETFです。
以下にご紹介するスペックを持ちながら、経費率は0.03%という激安水準。これは1,000万円を運用しても年間3,000円しか費用が発生しないレベルです。
運用会社 | Vanguard社 |
銘柄数 | 4,124(米国上場企業のほぼ全てを網羅) |
株価(2021年11月22日) | $240.32 |
配当実績(2020年) | $2.7694 |
平均配当利回り(設定以来) | 2.21% |
配当利回り(2021年10月末) | 1.20%程度 |
年間平均リターン(直近10年) | 16.6% |
最大下落率 | ▲55%(2009年) |
経費率 | 0.03% |
純資産総額 | 2,914億ドル(約32兆円) |
設定日 | 2001年5月31日 |
ベンチマーク | CRSP US Total Market Index |
【VTI】上位構成銘柄(2021年11月時点)
VTIの上位構成銘柄を見れば、米国経済を牽引している企業がどこか良く分かります。時価総額が大きな(勢いがある)企業ほど上位に並ぶためです。
象徴的なのは、2021年10月29日にAppleを抜き返して時価総額世界1位に復帰したMicrosoftに、2003年に設立されてから僅か18年で日本のトヨタを時価総額で完全に抜き去ったTeslaなどでしょうか。特にTeslaは2020年にS&P500にも採用された勢い抜群のニューフェイスですね。
これら上位企業を見ると無配企業が目立ちますね。つまり、収益は事業投資へ投じ、更なる企業成長(≒株価成長)で株主に報いる企業が上位を占めているのがVTIの特徴です。
上位10銘柄が占める割合は、23.58%です。4,000銘柄以上に分散されており、上位に偏らずバランスがとても良いですね。
保有銘柄 | 保有割合 | S&P格付 | 連続増配年数 |
Microsoft | 5.22% | AAA | 16年 |
Apple | 4.92% | AA+ | 9年 |
Amazon | 3.04% | AA- | – |
Alphabet (Google) | 1.87% | AA+ | – |
Tesla | 1.87% | BB | – |
Alphabet(Google) | 1.69% | AA+ | – |
Meta (Facebook) | 1.61% | BBB+ | – |
NVIDIA | 1.27% | A- | 9年 |
JPMorgan Chase | 1.06% | A+ | 11年 |
Berkshire Hathaway | 1.03% | AA | – |
【VTI】セクター比率

VTIは投資商品としても大変優れているだけでなく、米国の経済構造を知る上でも大変役に立ちます。2021年時点では情報技術が3割を占めます。情報技術セクターは1957年時点では、米国株式市場の3%を占めるに過ぎませんでしたから、米国経済が隆盛を極める中でも新陳代謝が活発であることが良く分かります。
これが米国経済の強さであり、今後も右肩上がりの成長を続けてくれるのでは、と期待させてくれる理由の一つですね。
情報技術、一般消費財、資本財・サービスの3セクターで全体の50%以上を占めているのが特徴です。
米国高配当ETFと比べると、構成比率の違いが良く分かり、これも大変興味深いです。
【VTI】株価推移
現代はまさに米国経済1強時代と言えます。この強さを反映して、2001年の設定以来、幾多の株価調整はありながらも、必ず高値更新を成し遂げ、右肩上がりの成長を続けています。
上述の通り、新陳代謝が活発な米国経済。ある企業が全盛期を過ぎても、他の成長企業が登場します。VTI(米国株式市場全体)に投資していれば、この新陳代謝を取りこぼすことなく、その恩恵に預かれる事をこの株価推移が証明しています。

【VTI】最大下落率(暴落耐性)
暴落に強いことで知られるのは、連続増配ETFであるVIGが代表格ですが、VTIも他の米国株式ETFに比べると相対的に暴落に対しては優秀な結果を残しています。
リーマンショック
リーマンショックではあらゆる金融商品が売り浴びせられ、VTIも例外でなく▲55%と大暴落しました。この影響は大きく、暴落前の高値回復には約4年1ヶ月を要しています。

コロナショック
コロナショック時には▲35%とダメージは受けましたが、回復に要したのは約6ヶ月と急回復を見せました。この時期の米国高配当ETFに比べると、かなりのスピードです。要因としては、株価急回復を牽引した情報技術セクターを高配当ETFに比べて多く含むポートフォリオが吉と出たことが挙げられます。米国株式市場全体に投資する特徴が良い方向に働いた結果と言えると思います。

【VTI】トータルリターン(配当再投資)
米国経済強しの状況が続く限り、この1本を長期・分散・積立しておけば、間違いないと思わせてくれる結果ですね。株式の期待リターンが5%程度と言われる中で、長期的にも10%程度の年間平均リターンを継続しているVTIは最優秀の部類に間違いなく入りますね。
まさにインデックス投資最強の流れを作ったのが、このVTIです。この商品が経費率0.03%で購入出来るのですから、日本の銀行・証券会社・郵便局が店頭販売している流行の投資商品なんて検討する必要性は皆無です。

【VTI】配当金実績
金融危機の影響が強かった2008-2009年や、直近のコロナショックの影響を受けた2020年を除くと、概ね右肩上がりで配当金は成長しています。

【VTI】増配率
VTIは株価ばかり注目されていますが、増配率もとても高いETFです。設定以来の平均増配率は、VTIが9.04%とVYMの6.64%と上回っています。この増配率は配当利回りが約8年で2倍になる計算です。
VTI | VYM | |
2003 | 10.37% | – |
2004 | 18.97% | – |
2005 | 26.97% | – |
2006 | 10.51% | – |
2007 | 12.73% | – |
2008 | ▲3.24% | 5.88% |
2009 | ▲11.83% | ▲18.75% |
2010 | 3.70% | ▲10.26% |
2011 | 7.40% | 26.67% |
2012 | 26.70% | 19.55% |
2013 | 7.04% | 10.06% |
2014 | 11.72% | 9.14% |
2015 | 10.59% | 12.57% |
2016 | 7.16% | 2.79% |
2017 | 5.78% | 8.60% |
2018 | 11.17% | 10.42% |
2019 | 11.52% | 7.17% |
2020 | ▲4.66% | 2.46% |
平均 | 9.04% | 6.64% |
【VTI】配当利回り推移
VTIの配当利回りは概ね2.00%〜2.50%の間を推移します。足元の配当利回りは急激な株価上昇に伴い1.20%周辺を推移しており、過去最低水準となっています。これは株価がすこぶる好調なことの裏返しでもありますが、少し過熱感を感じる側面もありますね。

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