世界のETF運用資産残高ランキングの中で上位4本は、米国インデックス・ファンドが占めており、うち3本(SPY・IVV・VOO)がS&P500 INDEXに連動するETFです。
シンガポールやマレーシアのGDPが約37兆円程度であり、国家規模に匹敵するお金がこれらのETFで運用されていることになります。
運用実績も着実に積み重ねられた、これらのETFで資産運用を行うのは、まさに賢明な投資判断だと思います。本記事では、そのうちの1本であるVOOに焦点を当てて、その特徴を深堀したいと思います。
銘柄 | 設定年 | 運用会社 | 純資産額 |
SPY | 1993年 | StateStreet | 約46兆円 |
IVV | 2000年 | BlackRock | 約36兆円 |
VTI | 2001年 | Vanguard | 約32兆円 |
VOO | 2010年 | Vanguard | 約30兆円 |
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【VOO】基礎概要(株価・配当金・経費率)
運用会社 | Vanguard社 |
銘柄数 | 511 |
株価(2021年11月26日) | $422.14 |
配当実績(2020年) | $5.3027 |
平均配当利回り(設定以来) | 約1.70% |
年間平均リターン(設定以来) | 15.8% |
最大下落率 | ▲34%(2020年) |
経費率 | 0.03% |
純資産総額 | 約2,770億ドル(約30兆円) |
設定日 | 2010年9月7日 |
ベンチマーク | S&P500 Index |
【VOO】上位構成銘柄(2021年11月時点)
VOOの上位構成銘柄は、(VOOもVTIも銘柄の組み入れは時価総額加重平均のため)VTIとほぼ変わらない(時価総額の大きな無配銘柄が上位を構成)ですね。
違いを強いてあげるなら、上位10銘柄が全体に占める割合は30.10%とVTIより若干高めです。
保有銘柄 | 保有割合 | S&P格付 | 連続増配年数 |
Microsoft | 6.30% | AAA | 16年 |
Apple | 6.00% | AA+ | 9年 |
Alphabet(Google) | 4.40% | AA+ | – |
Amazon | 3.70% | AA- | – |
Tesla | 2.30% | BB | – |
Meta (Facebook) | 2.00% | BBB+ | – |
NVIDIA | 1.60% | A- | 9年 |
Berkshire Hathaway | 1.40% | AA | – |
JPMorgan Chase | 1.30% | A+ | 11年 |
UnitedHealth Group | 1.10% | A+ | 12年 |
【VOO】セクター構成

VOOのセクター構成を見ると、情報技術・ヘルスケア・一般消費財が全体の53.8%を占めています。VOOの性質上、その時に米国経済を大きく牽引しているセクターが大きな割合を占めやすいです。
配当重視で銘柄構成を行うVYMは金融や生活必需品セクターが上位を占めるので、この対比も興味深いですね。
【VOO】株価推移

世界最強の株価指数と言われるS&P500 Indexに連動するETFだけあって、長期的に高値更新を続ける右肩上がりの成長曲線を描いています。
我々が普段耳にする『インデックス投資が最強』というのは、このS&P500 Indexの過去の経験に基づいています。この経験則に、ノーベル経済学賞も与えられている『ポートフォリオ理論』が学術的なお墨付きを与えたことで、米国インデックス投資が投資家の間で投資の最適解とされることになりました。
以下は余談ですが、『インデックス(株価指標)』という言葉が日本で一人歩きしています。
『投資の最適解』としての文脈で語られるインデックス投資は、VOOやVTI(またはVT)に対する投資のことです。
TOPIXや日経平均、新興国の株式市場に連動する株価指標なども、インデックスの1種です。これらに投資することも『インデックス投資』と呼んで差し支えありません。
しかし、米国インデックス投資(もしくは全世界インデックス投資)とそれ以外のインデックス投資は内容が全く異なるので、表面的な言葉使いに惑わされないようにしましょう。
【VOO】最大下落率(暴落耐性)
リーマンショック
VOOは2010年設定のためリーマンショックを経験していません。似たような株価の動きをするVTIが参考になるかと思います。
VTIの場合は高値回復に約4年を費やしています。
コロナショック
コロナショック時の高値からの下落率は▲34%でした。これは同時期に同じく暴落した米国高配当ETFと比較すると、よく耐えていると言える数字です。下落率でVOOより優秀だった主要な米株ETFはVIGぐらいです。
加えて、高値回復までに要した期間は半年程度と、回復力の面でも強さを見せました。

【VOO】トータルリターン(配当再投資)
米国インデックス投資は初心者でも簡単に始められる手軽さがありながら、投資のプロの多くはこの指数に勝つことが出来ません。
投資の神と呼ばれるウォーレン・バフェットの生涯平均リターン(年間)でさえ約20%程度です。(以下のリターンを踏まえて)あえて難しい投資に挑戦するのではなく、経費率0.03%と最安水準のETFであるVOOをポートフォリオの中心に据えるというのは至極合理的な判断であると思います。

【VOO】配当金実績
右肩上がりの配当金実績となっています。

【VOO】増配率
米国インデックス・ファンドは、増配面で注目を浴びることは少ない(VIGやDGROの方が注目度大)です。しかし、増配率で言うなら米国インデックス・ファンドは超高増配銘柄です。
2012-2020年の増配率を比較すると、VOOとVTIではVOOに軍配が上がっています。しかし、VOOは2013年と2014年に外れ値的な増配をしていますので、この年を除いた平均を出すと約9.16%とVTIと同じような増配率に落ち着きます。従い、長期的にはVOOとVTIで大きな差はつかなさそうですね。
VOO | VTI | |
2012 | 19.56% | 26.70% |
2013 | 41.82% | 7.04% |
2014 | 73.55% | 11.72% |
2015 | 12.46% | 10.59% |
2016 | 5.27% | 7.16% |
2017 | 5.56% | 5.78% |
2018 | 8.44% | 11.17% |
2019 | 17.61% | 11.52% |
2020 | ▲4.81% | ▲4.66% |
平均 | 19.94% | 9.67% |
【VOO】配当利回り推移
VOOは大きなキャピタルゲインを期待できる代わりに、配当利回りは控え目です。配当金をベンチマークにした投資スタイルを目指すのであれば、VOOではなくVYMやSCHDなどのETFをポートフォリオの中心にするのが良いと思います。

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