【VIG】ベンチマークについて学ぶ(2021年変更点のポイント)

【VIG】ベンチマークについて学ぶ(2021年変更点のポイント) 海外ETF

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【本記事の要旨】
①VIGは2021年にベンチマークを変更
②VIGの投資思想に変更はない
③変更理由は投資思想に近づくため
変更内容の中身は個人投資家の学びに溢れている

このブログは投資信託やETFへの投資であっても、内容を自分でしっかりと理解すべきをモットーにETFのベンチマークについて解説記事を書いています。これまでに、VYMSPYDHDVSCHDと高配当系にフォーカスをした順番で進めてきました。今回は、連続増配ETFであるVIGがテーマです。

VIGのベンチマークについて重要なのは、2021年にベンチマークの変更があったことです。具体的には2006年から2021年まではNASDAQ US Dividend Achievers Selectに連動していましたが、2021年からはS&P U.S Dividend Growers Indexを連動対象に変更しました。VIGベンチマークの投資思想はシンプルで理解しやすく勉強になると思います。また、前述の主な変更点の解説を通じてバンガード社のこだわりについても垣間見て行こうと思います(←こちらも個人投資家にとって良質の勉強材料)。

■本記事を書いている人
✅Twitter(@gonfox21)でも情報発信
✅20代で金融資産4,300万円達成
✅米国ETFで資産運用(SPYDVYMSCHDHDV

【VIG】NASDAQ US Dividend Achievers Select

NASDAQ US Dividend Achievers Selectは、3ヶ月の平均日次取引量が100万米ドル以上が確保されており、連続増配年数が10年以上ある普通株式を対象に時価総額加重平均でインデックス化します(1銘柄の最大比率は4.0%が上限)。ポイントしては、新ベンチマークのように形式要件を満たした銘柄をさらに絞り込む仕組み(後述参照)はないことです

VIGは設定された2006年から2021年まで、このNASDAQ US Dividend Achievers Selectを連動対象のベンチマークとしてきました。

【VIG】S&P U.S Dividend Growers Index

2021年からはS&P U.S Dividend Growers IndexがVIGの連動対象として設定されています。

まず、流動性(3ヶ月間の日次取引量の中央値が新規銘柄は100万米ドル、現行銘柄は50百万米ドル以上であること)と連続増配年数が10年以上という形式要件を満たす米国企業がインデックスの採用候補となります。そして、この形式要件を満たす採用候補銘柄のうち予想配当利回りが上位25%に入る銘柄はインデックス対象から除外されます(現行採用銘柄は上位15%未満であれば除外を免れる)。この除外を経て残った銘柄を時価総額加重平均(1銘柄4.0%を超えないように調整する仕組みあり)でインデックス化したものがS&P U.S Dividend Growers Indexとなります。

筆者
筆者

VIGのベンチマークは米国高配当ETFのベンチマーク(SPYDHDV)等に比べるとシンプルで機械的に構成銘柄が決まるのが特徴的だと感じます。SPYDやHDVはベンチマークに連動するパッシブファンドではあるのですが、中身であるベンチマークのアクティブ要素が強いのが特徴でした。

リバランスについて

構成銘柄変更を伴うリバランスは年1回(3月)に実施されます。また、四半期に一度(3,6,9,12月の各第3金曜日)の頻度で、銘柄毎の株価騰落に応じて歪んだ構成比率を正すため、インデックスが再計算され組み入れ比率が調整されます(基本的に銘柄変更は行われません)。

なお、これらとは別に毎月レビューが実施されており、上述の形式要件を満たさなくなった銘柄がインデックス内にあれば除外される管理が行われています。

機械的な作業とはいえ、これを個人で行うのは骨が折れると思います。これを経費率0.06%で委託できるのは非常に良心的なコスト設定だと個人的には感じます

【VIG】新旧ベンチマークの主な違い

新旧ベンチマークの主な違いは3点です(出典:バンガード社プレスリリース)。新旧ベンチマークの変更点の趣旨を理解しようと努めることで、バンガード社の投資観も見えて来ます。

【主な変更点】
配当利回りによるスクリーニング:配当利回り上位25%を除外(前述の通り)
時価総額算出に浮動株調整を追加:創業者保有等の流動性が低い株式は計算分母に含まない。
リバランス実施期間の拡張:通常は1日で完了する構成銘柄の追加・削除を3日かけて行う。

配当利回りによるスクリーニング

変更点①については、より競争力のある企業のインデックスに占めるウェイトを増やす狙いがあります(出典:S&P Dow Jones Indices)。インデックス開発元であるS&P Dow Jones IndicesのチーフストラテジストであるRupert Watts 氏は、このインデックスが連続増配年数を銘柄選定の基準にする理由について『配当利回りの追求が目的ではなく、優れた経営管理がされ、持続可能な成長力を持つ企業を選抜することが目的』としています。

また、有配株は配当利回りおよび潜在的な株価上昇をもたらし得るものの、全てがそうである訳ではない』と述べています。これはつまり、配当利回り上位の中には罠銘柄(企業経営の懸念等による株価低迷で高配当化している銘柄)を含む可能性があるということを言っています。この可能性の排除が、配当利回り上位25%を機械的に取り除く理由です

総括すると、変更点①は、バンガード社がVIGに反映しようとしていた投資哲学(優れた経営管理がされ、持続可能な成長力を持つ企業への投資)の実効性をより高めるための仕組みという訳です。

筆者
筆者

個人的には(十分優れた実績があったとしても)現状維持に満足することなく目的達成のために改善の余地がないかを常に考えるバンガード社の姿勢に感銘を受けました

時価総額算出における浮動株調整を追加

変更点②についてですが、市場主義の徹底というバンガード社の価値観の投影を感じます。時価総額は発行株数✖️株価で計算され、時価総額が大きい銘柄ほどインデックス中で重きを置かれる訳ですが、この計算において『持ち合い株の性格が強かったり、創業者一族の保有など実態的には市場取引されない株は考慮しない』というのが浮動株調整です。実質的な流動性を伴って市場取引されている株の価格の強い・弱いだけを評価したほうが、銘柄の実力をより本質的に反映するという訳ですね

リバランス実施期間の拡張

最後に変更点③の趣旨ですが、これはとてもバンガード社が好みそうな発想です。これはリバランスにかかる全ての作業を1日に詰め込むよりも3日間という時間的余裕を持つことで、取引コストの最適化やトラッキングエラーの縮小を狙うものです

筆者
筆者

インデックスの取引コストが低下すれば、ベンチマークのパフォーマンスは改善しますし、改善ボリューム次第では連動するETFの信託報酬も下げることができるかもしれません。余計なコストの無駄を最大限に省き、純粋な市場へのエクスポージャーを実現することが資産運用の正義というバンガード社の理念を感じます

【VIG】ベンチマークの変遷から学べること

まず、VIGのベンチマークのまとめです。VIGのベンチマークの中身を一言でまとめるなら『経営力の優れた、持続可能な成長を見込める優良企業への選択的投資を行うことで高いキャピタルリターンを目指すインデックス』となります(→配当金に関心があるのであれば手段としては、増配率を踏まえてもVYMのほうがふさわしいです)。

そして、VIGのベンチマーク変更の背景にあるバンガード社の姿勢からは、個人投資家が学べることがたくさんあると思います。私が特に参考になると感じるのは、次の2点です。

(1)投資軸が明確なので目的と手段の関係にブレがない
(2)徹底的なコスト排除(運用合理化)の追求
コストの重要性はこちらでも記事にしてます。

ベンチマークについてはわかったけど、実際にVIGに投資する具体的な魅力も教えてくれよ!どんな投資軸で選ぶべき銘柄なのさ!』という方がいらっしゃいましたら、以下の記事も合わせてお読み頂けますと幸いです。

筆者
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