【SPYD構成銘柄】ゼネラル・ミルズ(GIS)の銘柄分析
会社名 | ゼネラル・ミルズ(General Mills) |
ティッカー | GIS |
市場 | ニューヨーク証券取引所(S&P500銘柄) |
セクター | 食品 |
備考 | SPYD構成銘柄(2020年5月時点) |
出典:Yahoo Finance |

【GIS】企業情報
ゼネラル・ミルズは1860年に米国ミネソタ州に誕生した小麦製粉事業から発展した米大手食品会社です。
1928年にニューヨーク証券取引所に上場して企業名が現在のゼネラル・ミルズ(General Mills)になりました。

日本郵船(三菱財閥のルーツ)が誕生したのが1870年だから、いかに老舗企業であるかが分かりますね。
このMillsは祖業事業である小麦製粉に使用していた『水車』に由来しています。
現在では、スーパーやコンビニで扱われる商品を手広く製造・販売している企業になります。
米国では後述の通りシェアの高いブランドもありますが、日本でも馴染みがあるのはアイスクリームのハーゲンダッツですね。
注目ポイント
2018年にペット食品ブランド(Blue Buffalo)を80億米ドルで買収しています。
資金手当の内訳は借入(60億)、新規株式発行(10億)、手元現金(10億)です。
ゼネラル・ミルズは2017年時点で総資産が220億米ドル規模でしたので、バランスシートの約40%にも匹敵する大型買収でした。
従い、Blue Buffaloと既存事業のシナジー効果で業績を伸ばすことに社運がかかっています。
この大型買収で後述の通り財務健全性が後退したため、2018年に主要格付会社の格付見直しの対象になりました。
S&PはBBB+からBBBに、Moody’sはA3からBaa2に信用リスクを下方修正しています。
従い、業績UPによる財務健全性の再構築が要注目ポイントです。
配当は前身時代から120年間減配なしを継続しており株主重視の企業でもあります。
【GIS】収益構造

事業収益が米国内に集中しているため、日本では馴染みがありませんが、シリアル(国内シェア2位)やヨーグルト(国内シェア3位)で米国内に有名ブランドを展開しています。
ヨーグルト事業では、2016年まで米国内マーケットシェアの4分の1を占める堂々の第一位でした。
しかし、近年では競合のChobaniやDanone(日本でも馴染みのダノンヨーグルト)にマーケットシェアを奪われており、2017年に第3位に転落して以降売上高は伸び悩んでいます。
米国内での『ギリシャヨーグルト』のブームに乗り遅れて、同分野での有力商品を確立できなかったことが背景です。
このように既存事業では成長が頭打ちになっており、Blue Buffalo買収を通じたペット食品事業の拡大は、新たに収益の柱を強化したいGeneral Millsの危機感の表れでもあります。
【GIS】売上高・EBITDA・純利益

ゼネラル・ミルズ(GIS)の売上高・EBITDA・純利益は過去5年間ほぼ横ばいの状態が続いています。
売上高についてはBlue Buffaloの買収効果もあり、2019年は上昇基調に転じてしますが、EBITDAは未だに伸び悩んでいます。
EBITDAは借金返済(=財務健全化)に必要な資金繰りに直接関係する数字なので、EBITDAの改善状況を投資家は注意して見ておく必要があります。
【GIS】キャッシュフロー

2018年にBlue Buffaloを買収したことによる投資CFの増加が目立つ結果になりました。
同年もフリーキャッシュフローが黒字なのは、それだけ多額の借入も同時に実施したことを示しています。
後述の通り、財務健全指標でも有利子負債の増加が顕著に確認可能です。
【GIS】財務健全性
S&Pの記事によれば、2020年5月時点でのゼネラル・ミルズ(GIS)のマーケットアクセスは良好です。
従い、ゼネラル・ミルズ(GIS)の支払能力に直ちに疑問符がつくことはなさそうです。
しかし、資金調達環境の悪化が発生すれば高格付企業よりも影響を受けやすいポジションであるのは事実ですので、自分でも数字を確認しておくことは必要です。
有利子負債/EBITDA(短期支払能力)

有利子負債/EBITDAが意味するところは、『EBITDAを全て借金返済に充てた場合に、完済に必要となる年数』です。
つまりこの数字が0に近づくほど財務健全度は高いと言うことです。
ゼネラル・ミルズ(GIS)の状況を確認すると、2018年の大型買収をきっかけに指標が著しく悪化しました。
買収資金の調達に伴い、有利子負債が増大したのに対して、EBITDA(稼ぐ力)が比例して伸びていないことが原因です。
このことからもゼネラル・ミルズ(GIS)の喫緊の課題は収益力の改善にあることが見て取れると思います。
足元すぐに信用不安が起こるレベルではないですが、数値が高止まりすれば投資家に嫌気される要因になります。
【GIS】株価推移

2018年は財務健全性の懸念から株価が低迷しました。
一方で、2019年から持ち直しており、コロナ相場環境下でも株価が上昇基調を継続している点が特徴的です。
どんな状況でも食品に対する需要はなくなりませんから、不況時でのディフェンシブ性が垣間見えます。
実際に、コロナ環境下での自社製品への急激な需要増をゼネラル・ミルズ(GIS)も表明しています。
【GIS】配当金推移(配当性向)

連続増配銘柄ではありませんが120年間減配なしの配当金実績は、ゼネラル・ミルズ(GIS)の株主重視の姿勢およびこだわりを感じますね。
配当性向にも以前余裕があるので、当面減配を心配する必要もなさそうです。
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