【SPYD】不動産もポートフォリオに組める高配当株ETFの王者
米国株ETFへの投資を検討するにあたって、SPYDへ関心をお持ちの方に本記事を書いております。
筆者もSPYDに約50万円を投資しており、現在も毎月10〜20万円のペースで買い増し中の銘柄になります(2020年5月時点)。SPYDは割安価格で購入することが重要です。私は、通常価格帯では定期購入していません。買い時が最重要である点を、まず強調致します。
筆者も実際にSPYDを購入すべきか迷った経験があります。そして、この経験を基にSPYDのを基本情報をご紹介するのが本記事の目的です。
そして、実際に購入してみた(保有当事者の目線)目線で解説いたします。
SPYD基本情報(配当金・経費率・リターン・権利落ち日)
SPYD基本情報(2020年5月7日時点) | |
設定日 | 2015年10月21日 |
銘柄数 | 70 |
価格 | $21.02(最安値)〜$39.98(最高値) |
資産額 | 17億米ドル(約1,800億円) |
経費率 | 0.07% |
配当利回り | 4.0〜5.0% (通常時目安) |
配当回数 | 四半期毎(3月,6月,9月,12月) |
権利落ち日 | 配当月の第三金曜日 |
出典:State Street社ホームページ, Yahoo Finance |
SPYDで配当金を貰うには、『権利落ち日』までに購入する必要があります。
この期限までに購入した人に、SPYDがその月の配当金を払うので『権利落ち日』と言います。
『権利落ち日』を過ぎて購入しても、その月は配当金は貰えませんので要注意です。
SPYDセクター比率(2020年5月7時点)

SPYDは不動産・金融・エネルギー・生活必需品の4セクターで全体の50%以上を占めるポートフォリオとなっております。
そして、この不動産をポートフォリオに組み込めるのは、同じ高配当米国株ETFの仲間であるVYMやHDVにはない特徴です。
米国では不動産リートの利益の90%以上を配当に出すことで、利益が非課税になる税制メリットがあります。
SPYDの配当利回りが高い水準で維持されているのは、この税制メリットを享受する不動産リートの割合が高くなっていることが理由の一つです。

SPYDの銘柄入れ替えは通常年2回。しかし、設立以来初となる経済危機(コロナショック)の場面では無敗銘柄を迅速に取り除く機動的なポートフォリオ管理を見せました。
緊急時には臨機応変な対応を見せてくれたSPYDの信頼度が私の中で高まりました。
SPYD構成銘柄(2020年5月7日時点)
SPYDのポートフォリオの組み方の特徴は、均等加重平均にあります。
均等加重平均とは分かりやすく言えば、企業の時価総額(規模)に関係なく、全ての保有銘柄の構成比率が均等になるようにポートフォリオを組むことです。
例えば、全部で10銘柄なら各銘柄の構成比率が10%(100%➗10銘柄)となります。
SPYDはS&P500構成銘柄のうち配当利回り上位80銘柄(現在は無配銘柄が抜けて70)で構成する仕組みになっています。
有名な高配当戦略に『ダウの犬戦略』があります。
ダウの犬戦略は、ダウ平均構成企業30社を配当利回りの順番に並べて、上位10社でポートフォリオを組む戦略です。
SPYDはをS&P500指数で『ダウの犬戦略』を実施するETFとも言えます。
構成銘柄は上記図表でも軽く触れましたが、上位10銘柄は次の通りになっております。

日本政府がコロナ治療薬として異例の3日で特例承認した『レムデシビル』の製造で知られる米製薬会社Gilead Sciencesが最大の銘柄になっています。
また、全体としては増配継続年数が20年以上の配当貴族銘柄は4つで、Chevron(石油)、Exxon Mobil(石油)、Altria Group(タバコ)、AT&T(通信)が組み込まれています。

均等加重平均でポートフォリオを構成していることもあり、パフォーマンスが特定の企業の引っ張られることがないのはメリットですね。
日経平均などはユニクロなどの特定銘柄に値動きを左右される傾向があるので、ユニクロ指数と揶揄されていますね。
SPYD 配当利回り
SPYDの配当利回りは概ね4%〜5%の間で推移しています。2020年のコロナ相場では配当見通しが7%を超える場面もありました。
現時点では今後の減配可能性も排除できないので、実際に7%を実現出来るのか要注目です。
また、VYMとHDVとの比較ではSPYDの配当利回りが一番高い結果となりました。

比較(VYM)
同じ高配当米国株ETFの仲間であるVYMと比較すると、SPYDが平均して2〜3%程度VYMに勝る傾向があることが分かりました。

比較(HDV)
同じ高配当米国株ETFの仲間であるHDVと比較すると、SPYDが平均して1〜2%程度HDVに勝る傾向があることが分かりました。

SPYD 配当実績および増配率

SPYDは2015年10月に設定された比較的新しいETFです。
そのため、増配傾向を掴むのは困難ですが、過去5年間の配当金はやや不安定です。
この点は安定した右肩上がりのインカムゲインを重視する高配当銘柄狙いの投資家にとっては不安要素と言えるかも知れません。
SPYD トータルリターン(配当込み)
2016年から2019年のトータルリターンを比較すると、次のような傾向が見られました。
インデックス投資(VOO・VTI)にはトータルリターンで劣る。
【好況時】米国高配当株ETF(SPYD・VYM・HDV)の中ではNO1クラス*。
【不況時】米国高配当株ETF(SPYD・VYM・HDV)の中でリターンを一番大きく毀損*。
*詳しくはボラティリティの段落でも補足します。
比較(VOOおよびVTI)
設定当初(2016年〜2018年)こそはSPYDがトータルリターンでVOOおよびVTIをリードしていましたが、長期的にはインデックス投資の王道であるVOOやVTIにリターンで劣後する結果となりました。
2016年〜2019年の4年間で10.8%の差をつけてVOO(69.8%)の勝利です。
VTIについてもほぼ同様のグラフ推移を描き、VTI(67.5%)がSPYD(59%)に8.5%の差をつけて勝利しました。

比較(VYM)
2016年〜2019年の4年間ではSPYD(59%)に対してVYM(58%)ですので、若干SPYDに軍配が上がる結果となりました。

しかし、コロナ危機が発生(3月)を含んだ期間まで含めると様相が変化します。
2020年5月12日時点の総リターンはVYMの28.2%に対してSPYDは6.9%まで落ち込みます。
SPYDは暴落期間中にリターンを大きく吐き出してしまう性質が明らかになりました。

比較(HDV)
2016年〜2019年の4年間ではHDV(51.2%)に対して、7.8%の差をつけたSPYD(59%)がトータルリターンで優位に立つ結果となりました。

しかし、コロナ暴落期間を含むとHDVに対してリターン面での弱さを露呈します。
対象期間を2020年5月12日まで伸ばすと、HDVは24.8%のリターンで耐えているのに対しご案内の通りSPYDは6.9%までリターンを大幅に毀損します。
このように暴落発生を挟むと、リターン面でSPYDは大きく劣後するが判明しました。

不況時のボラティリティ
SPYDの最大の弱点が上でも明らかになった不況時のボラティリティの高さです。

コロナ危機後にはどのETFも最高値から大きく値を下げましたが、SPYDの▲46.4%は頭一つ抜けています。

2020年3月31日時点での年初来の株価下落率を確認すると、上のようになっています。
どの銘柄も一番ショックが大きかった瞬間からは値を戻しています。
こうして見ると気になるのは、同じ高配当株ETFの仲間であるVYM(+11.2%)とHDV(+16.7%)の回復速度に比べてSPYD(+9.7%)はここでも出遅れている点です。
不況時のSPYDはVYMやHDVに比べて『大きく下落する』上に『価格回復も遅い』ことを示しています。
インカムゲイン狙いの投資家でも、強いメンタルが求められそうです。

この騰落率には腰が引けてしまいそうですが、長期投資家はボラテリティの底で仕込むことで長期的に成功します。
実際に、SPYDの配当利回りは7.8%を超える水準になっていました。
長期的には価格が戻ると信じているので、この配当利回りを楽しみに力強くホールドしています。
SPYDの買い時
SPYDの配当利回りは4%〜5%の間で推移しています。
筆者の場合は5%以上をターゲットにして、毎月ドルコスト平均法で購入しています。
高配当狙いの投資の場合は、ある程度割安のタイミングで購入する必要があるので、利回りの基準をまず設けることが肝心です。
ポートフォリオ全体の目標利回りを基に、SPYDに求める利回りを決めましょう。
その上で、高値づかみを避けるため、複数回に分けて購入(時間分散)を心がけましょう。
SPYDが向いている人
上記のSPYDの特徴を踏まえれば、リスク許容度が一定以上ある投資家で4%以上のインカムゲイン(配当金>トータルリターン)を重視する方。
SPYDの弱点が気になる方は、VYMと組み合わせるのも一考です。
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