SCHDのベンチマークであるDow Jones US Dividend 100 Indexは四半期毎(年4回)にリバランスを行い、年1回(3月の第2金曜日)に銘柄入れ替えを行います。このベンチマークの変更を反映する形でSCHDの銘柄変更が実施されました。今回は13銘柄が外れ、14銘柄が追加されています。SCHDに200万円以上を投資している者として、早速に確認してきました。
除外された13銘柄が元のポートフォリオに占める比率は4%未満だったので、これでSCHDの特徴が大きく変わる訳ではないですが、今回から追加された注目の銘柄をご紹介できればと思います。
【SCHD】とは
SCHDはチャールズ・シュワブ社が展開する低コスト(経費率0.06%)の米国高配当ETFです。チャールズ・シュワブは自身がS&P500構成銘柄でもあり、低コストの投資信託やETFを多数取り揃えていることで米国の個人投資家からの人気が高いファンドです。
純資産額は3.8兆円(1$=122円)を超え、現在は10年連続増配中です。特徴が似ているVYMとの比較が以下の通りですが、かなり優秀な運用成績を残していることが分かります。キャピタルゲイン・高配当・高増配率の3拍子を実現している点でSCHDは唯一無二であると思います。
SCHD | VYM | |
年平均リターン(直近10ヵ年) | 14.1% | 12.0% |
配当利回り(2021年実績/現在株価) | 2.82% | 2.72% |
平均増配率(直近5ヵ年) | 12.5% | 7.0% |
出典:チャールズ・シュワブ社、バンガード社 |
なお、SCHDのより詳しい解説はこちらの記事でしております。
【SCHD】構成銘柄から除外された13銘柄

正直聞いたことのない銘柄ばかりだと思います。今回外れた銘柄の中では一番大きな構成比率を占めていたEmerson Electricは連続増配年数が65年の配当王銘柄です。Emerson Electricの財務状況(出典:Yahoo Finance)を確認すると自己資本に対する負債比率(D/E Ratio)は90%と良好な水準に収まっています
負債比率が100%を切っているということは自己資本で借金を全て返済できるので財務的には非常に安全です。Moody’s の格付でもA2を付与されています。また、配当利回りは2.0%程度ありますし、配当性向も40%台と余裕のある水準です。
こうして見ると、Emerson Electricに特段大きな問題はありません。より良い投資対象が他にあるので入れ替えとなったのではないかと思います。
【SCHD】構成銘柄に追加された14銘柄

今回の追加で注目されるべきはEOG Resourcesです。組み入れ比率から見ても、この銘柄を入れるためにEmerson Electricを外したのではないかと推察されます。EOG ResourcesはSPYDでも上位銘柄を構成するなど、色々な高配当ETFで顔を出し始めています。
EOG Resources社は主にアメリカで原油や天然ガスの探査・開発・生産・販売までを手がけているエネルギー企業です(出典:Annual Report 2021)。同社の原油生産量の97%、天然ガス生産量の100%が米国由来です。その他にはトリニダード・トバゴでわずかに原油生産を行なっているのみです。米国外の探査活動は中国、オマーンなどでも実施していましたが、2021〜2022年にかけて撤退しており、2021年11月にオーストラリアで権益(開発中)取得を実施したのが最新の状況です。
西側先進国がロシアからの原油や天然ガス輸入割合を減らす動きに出ており、世界最大の産油国である米国は最も利益を得るポジションにいると思います。保有資産が米国に集中しているEOG Resourcesもその恩恵を受ける可能性が高いと思われます。
【SCHD銘柄】EOG Resources
足元の配当利回りは約2.5%程度で、配当性向も20%程度です。この配当利回りや配当金余力を見ると、確かにEmerson ElectricよりもEOG Resourcesの方に投資妙味があるのかもしれません。また、収益力と財務基盤を同業他社と比較したのが以下の表になります。
EOG Resources | エクソンモービル | シェブロン | |
ROE | 22% | 14% | 11.5% |
D/E ratio | 27% | 30.2% | 24.9% |
配当性向 | 20% | 30.2% | 65.2% |
出典:Yahoo Finance |
投資資本あたりの事業リターン(投資効率)を示すROEは20%を超えており、エクソンモービルやシェブロンと比較しても競争力のあるビジネスを実施しているのが分かります。また、負債を自己資本でどの程度カバーできているか、財務健全性の指標となるD/E Ratio(低い方が良い)も良好な水準に収まっています。S&PからはA-の信用格付が付与されています。
配当性向もかなり余裕があります。
こうした実力や外部環境(原油価格高騰)などが総合的に勘案され、今回の新規採用に繋がったとものと思われます。
【SCHD】上位構成銘柄(2022年3月末時点)
今回の変更で上位10銘柄の削除・追加はなかったので、顔ぶれは大きくは変更ありません。上位10銘柄が全体に占める割合は39.71%です。
銘柄名 | 構成比率 | S&P格付 | 連続増配年数 |
Texas Instrument | 4.20% | A+ | 18年 |
Pfizer | 4.10% | A+ | 12年 |
Broadcom | 4.08% | BBB- | 13年 |
PepsiCo | 4.05% | A+ | 50年 |
Coca-Cola | 4.00% | A+ | 60年 |
Merck & Co | 3.98% | AA- | 12年 |
Amgen | 3.96% | A- | 12年 |
Home Depot | 3.80% | A | 13年 |
Cisco Systems | 3.78% | AA- | 12年 |
IBM | 3.76% | A | 27年 |
上位構成銘柄の業界内での地位はもちろん、財務健全性や連続増配年数の観点からも非常に魅力的な米国高配当ETFだと思います。

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