【HDV】連動するベンチマークについて学ぶ

HDVベンチマークについて 米国株ETF

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【本記事の要旨】
✔︎HDVはMorningstar Dividend Yield Focus Indexに連動するETF
✔︎指数開発・提供者は投資信託の格付で有名なモーニングスター社
✔︎財務健全性のスクリーニングが特徴(VYM・SPYDとの比較で理解が深まる)

HDVは世界三大資産運用会社の一角を占めるステート・ストリート社が経費率0.08%という超低コストで展開する米国高配当ETFです。米国高配当ETFにも資産運用会社が独自の運用方針を立てるアクティブファンドと指数開発会社が一般に公開しているインデックス(指数)に連動することを目指すパッシブファンドの2種類があります

HDVは後者のパッシブ型に該当するETFです。パッシブ型のETFに投資を行う際には、資産運用会社が連動するベンチマーク(指数)をよく理解しておくことが重要です。今回は第1回目のVYM、第2回目のSPYDに続く第3回目としてHDVのベンチマークをおさらいしたいと思います。

■本記事を書いている人
✅Twitter(@gonfox21)でも情報発信
✅20代で金融資産4,300万円達成
✅米国ETFで資産運用(SPYDVYMSCHDHDV

HDVの指数提供元について

Morningstar Dividend Yield Focus Indexの名称の一部にもなっているMorningstar社(モーニングスター)が指数開発・提供元になります。同社は1985年にイリノイ州シカゴに設立された金融情報サービス会社です。上述の通り、主に投資信託のレーティングを主要事業としています。そのほかには、資産運用事業や投資金融データを提供するオンラインプラットフォームの運営などを行なっています。

若い企業に思えますが、資産運用事業の覇者(運用資産は10兆ドル超え)であるブラックロック社も1988年設立であることや、金融情報事業者の覇者であるブルームバーグが1981年設立であることを考えれば金融業界では取り立て若者という訳でもないのかもしれません。しかし、資産運用事業や金融情報事業ではこの2社に見劣りをするところはあるので、やはりMorningstar社の独自性としては投資信託やETFなどの金融商品に対してのレーティング事業だと思います。

【HDV】Morningstar Dividend Yield Focus Indexとは

Morningstar Dividend Yield Focus Indexはざっくり言うと『REITを除く財務健全な米国株式銘柄の配当利回りTop75で構成する株価指数』になります

HDV-benchmark
出典:HDV Rulebook

SPYDがダウの犬戦略的に配当利回り上位80銘柄で指数構成を行うのに対して、そこに財務健全性のスクリーニングの一手間を加えるのがHDVです。つまり。この財務健全性スクリーニンMorningstar Dividend Yield Focus Indexの際立った特徴といえるでしょう。また、VYMのベンチマーク(400銘柄)との比較で考えれば、75銘柄は配当利回り追求と分散最適の間でギリギリを狙っている指数といえるかもしれません。

【HDV】財務健全性スクリーニングの手法

モーニングスター社は様々な銘柄評価の仕組みを持っているのですが、これらの仕組みを複合的に使用して様々な観点から候補銘柄の評価を行います。財務健全性が高く収益力にも安定感が見られ、株価も割高感が少ない銘柄を上手く選ぶことで配当持続可能性が高いポートフォリオを組み立てようという考えが伺えます。

具体的には、Morningstar Economic Moatでnarrow moat以上、Uncertainty Ratingで株価適正に対する不透感がHigh未満であり、デフォルト確率の低さでTop50%以内に入っている企業が指数適格性ありと見なされます。また、デフォルト確率の低さでTop30%以内に入る企業についてはMorningstar Economic MoatまたはUncertainty Ratingが付与されていない場合でも指数構成候補銘柄としてリストアップされます。

企業優位性は定性的な要素を含みますし、銘柄の経済的評価は担当するマーケットアナリストの能力に依拠するとことです。ようするに、モーニングスター社が”優れている”と考える銘柄を選出して、その中から配当利回りが高い75銘柄がリストアップされる仕組みになっていますこの観点では、アクティブ要素が強く人為的リスクを相応に含む指数といえるでしょう

Morningstar Economic Moat

モーニングスター社はMorningstar Economic Moatという企業分析ツールの提供を行なっています。Moatとは直訳すると『堀』であり、ここでの意味としては企業優位性になります。例えば、他社製品によって代替不可なサービスの提供(例:Microsoft Software)、特許権の保有、企業ブランドなどによって市場競争から守られている収益源の厚みで評価されます。そして、この企業優位性が20年以上継続すると評価される場合にWide Moat、10年規模ではNarrow Moatが付与されます。

この枠組みにより、対象銘柄の収益性の持続性がテストされます。

Morningstar’s Distance to Default

一言で言えば、数学的にデフォルト確率を算出する仕組みです。企業のマーケット情報と会計情報の両面から評価する仕様になっています。当然ですが、デフォルトの危険性が低い企業ほど評価されます。

Uncertainty Rating

Uncertainty Ratingはモーニングスター社のアナリストが、特定銘柄の株価水準の妥当性について評価するものです。理論的な株価(Fair value)に対して株価の割高・割安を図るのですが、この理論的に妥当な株価(Fair value)をどう見積もるのかがポイントになります(←この作業はどうしても属人的になります)。足許株価が理論株価に近い(とモーニングスター社が考える)ものをLow Fair Value Uncertainityと評価し、反対に理論株価との乖離が大きいと思われる銘柄はHigh Fair value uncertainityと評価されます(さらに不透明性が高いとVery high、Extremeとなる)。

以上の判定作業にあたり、銘柄の事業内容(ビジネス)について下記観点を中心に分析が行われます。この分析をもとに、いわば事業の実力に対する適正株価(Fair Value)をモーニングスター社のアナリストが算出します。

Sales Range: 販売収入の変動余地の検証

Operating Leverage: 売上高の変動に伴う営業利益の増減の検証
⇨一般に固定費が多いほど損益分岐点を超えた後の売上高に占める利益が大きくなる
Financial Leverage:利益を生むのにどれだけ借金しているのか
⇨高収益でも債務が多ければ持続可能性について不透明感は増す
Future Events:企業活動に影響を与えるであろう法規制の変更などのイベントを予測し、売上高や事業収益性への影響度合いを分析する

リバランスの仕組み

四半期毎(3月、6月、9月、12月)の第3金曜日にリバランスが実施されます。また、前回のリバランス時点で組み込まれている銘柄については、今次リバラン時点で配当利回りが上位100までに残っていれば引き続き指数構成銘柄として維持されます。

HDVのベンチマークへのトラッキング精度について

HDVのベンチマーク(Morningstar Dividend Yield Focus Index)が優れているとして、その恩恵を個人投資家が享受するためにはブラックロック社が可能な限り正確にベンチマークをトラッキングする必要があります。このベンチマークからの乖離(トラッキングエラー)が少ないほどパッシブ型ETFの魅力は高いです

HDVトラッキングエラー
出典:BlackRockホームページ

トラッキングエラーは10年で0.17%(年間0.017%)は概ね許容範囲内かと思います。一方でVYMの同期間におけるトラッキングエラーは0.06%と経費率分しか乖離していないことを考えると、極めて優秀と言うほどではないと思います。一般に運用資産残高に比例してトラッキングの正確性は向上していくので、この差異は両ETFにおける運用資産残高の差(約3.3倍)ともいえるかもしれません。

HDVベンチマークのまとめ

HDVベンチマークの特徴は、財務健全性評価を中心とする銘柄スクリーニングにあります。そして、このスクリーニングはモーニングスター社のアナリストの能力および意見に依拠するものです(それが付加価値でもあるのですが)。このスクリーニングの内容を鑑みるに、HDVは形式的にはパッシブファンドですが本質はアクティブファンドであると見ることが出来るでしょう

HDVが一般的なアクティブファンドと異なるのは、銘柄選定に人件費をかけながらも低コストで運用されている点です。このためアクティブファンドを好まないパッシブ派の個人投資家からも好かれる(または許容される)余地はあると思います。私個人(パッシブ派)もポートフォリオの一部に組み込んでいます。

一方で、VYMやSPYDのベンチマークと比較すると複雑ですし、人件費も相応に発生するはずです。それでも低コストというのは矛盾を感じるので、この点が保有者ながら少し気になるところです。企業ビジネスは営利活動なのでコストは基本的に顧客に転嫁されるものです。ロジカルな推測としては、①隠れコストがある(←ブラックロックにかぎってないとは思う)。もしくは、②人件費をかけても総合的には安上がりなのである。のどちらかだと思います。

②であればハッピーエンドかというと話は、そう単純ではありません。上述の通り、ベンチマークの質はアナリストの能力に依拠する構造になっています。普通に考えれば、人件費(コスト)はアナリストの質に比例するはずです。『人件費が低く抑えられていれば、能力のあるアナリストは移籍してしまわないか。現職のアナリストの質は大丈夫だろうか。』という懸念が生まれるからです。

以上の点は、正直のところ私の中でも完全には腹落ちしていません。HDVホルダーのほとんどは運用会社のブラックロック社の信用力を評価してHDVを保有しているのではないでしょうか。しかし、私見ですが、HDVのパフォーマンスはモーニングスター社のアナリストの質にリスクがあると言えます。この点についてはブラックロック社の信用力や能力は関係ありません。

そして、これは私の好みの問題ですが、投資でもビジネスでも特定の人物の能力に左右されるストラクチャリングは極力避けたいです(ゼロにはなりませんが)。

筆者
筆者

個別株に抵抗がない個人投資家であれば、比較的気にならないリスクかもしれないですね。アナリストは銘柄分析を専門の生業とする人達ですし、企業が保有する金融情報プラットフォームや分析ツールを利用できるのは見方によっては強みかもしれません。

なお、繰り返しながら、私はHDVホルダーです(笑)。それではなぜ保有しているのかといえば、このリスクを銘柄単位ではなくポートフォリオ全体で管理しているからです。リスクがゼロの金融商品は存在しないので、本質的な問いは、リスクに対するリターンの適性感です。個人的な好みですが、理論的な隙のないVYMがやはり一番です。

VYMのデメリットとしては(理論的に隙がない分)配当利回りがマイルドであることです。ここに対して+αの配当利回りを求めていくには追加でリスクを取りに行く必要があります。その検討にあたり有利力な候補銘柄がHDVというのが私の中の位置付けです。HDVのベンチマークはアクティブ要素もありますが、そのルール自体は比較的リーズナブルに思えますし、何より今のところ低コストであることに鑑みて上述のリスクは許容範囲内としています

このあたりの整理と矛盾する事象が確認された時はポートフォリオから外すこともありえます。また、目標としている年間配当金が240万円を超えた時点からは+αのリスクを取る必要がないので、それ以上の買い増しはないでしょう。

以上が、HDVに対する私の評価です。冷たく聞こえるかもしれませんが、特定銘柄に対して愛着は特にありません(それはVYMに対しても同じ)。今後も淡々とリスクとリターンのバランス、目的に対する手段としての適性感を見ていこうと思います。

本シリーズのVYMについてはこちら、SPYDについてはこちら、SCHDはこちら

筆者
筆者

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