日本ではDGROをあまり耳にしませんが、大手運用会社ブラックロックが経費率0.08%で提供する米国連続増配株ETFです。純資産残高も2兆円超えと米国で確かな実績のある優良ETFです。
近しいライバルはバンガード社のVIGが有名ですが、日本で取扱いのあるVIGに対してDGROは未だ日本の主要証券会社で購入することが出来ないので知名度では差がついております。
しかし、資産運用の道具としての実力は拮抗しており、実はDGROがVIGよりも優れている面もあるので米国証券口座(日本居住者だとFirstrade証券等)が使える個人投資家にとっては知っておく価値のある米国ETFです。
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【DGRO】基礎概要(株価・配当金・経費率)
DGROの正式名称はiShares Core Dividend Growth ETFです。DGROはこのDividend GROwthを文字ったものですね。
DGROが連動するMorningstar US Dividend Growth Indexの銘柄選出基準は次の通りです。VIGの選定基準は『連続増配期間が最低でも10年以上の米国企業』だったので、若干の違いが見られます。
また、銘柄数においてもVIGの247に対して、DGROは392銘柄。DGROの方がより分散が効いています。
運用会社 | ブラックロック社 |
銘柄数 | 392銘柄 |
株価(2021年9月) | $50.24 |
配当実績(2020年) | $1.029 |
平均配当利回り(直近5年) | 2.20% |
配当利回り(2021年9月末時点) | 2.08% |
年間平均リターン(2014-2020) | 13.3% |
最大下落率 | ▲35.1% |
経費率 | 0.08% |
純資産総額 | 206億ドル(約2兆2,700億円) |
設定日 | 2014年6月 |
ベンチマーク | Morningstar US Dividend Growth Index |
【DGRO】上位構成銘柄(2021年10月時点)
上位10銘柄でVIGと被るのは半分の5銘柄であり、同じ『連続増配』というコンセプトながら違いがやはり見られます。中でも特徴的なのがテクノロジー企業として有名なAppleをDGROが含んでいる点です。VIGは構成銘柄にAppleを含みません。
対照的にVIGでは上位銘柄を占める国際的なクレジットカードブランドであるVISAは、DGROには0.68%程度と気持ちばかり含まれる程度です。有名銘柄中心の中でも、このように重きが置かれている連続増配銘柄がDGROとVIGでは異なります。
また、上位10銘柄が全体に占める割合は、VIGの約30%に対してDGROは約20%なので1銘柄がポートフォリオ全体に与える影響がより控え目です。
保有銘柄 | 保有割合 | S&P格付 | 連続増配年数 |
Microsoft | 3.05% | AAA | 19年 |
JPMorgan Chase | 2.89% | A+ | 11年 |
Apple | 2.70% | AA+ | 9年 |
P&G | 2.65% | AA- | 64年 |
Verizon | 2.63% | BBB+ | 18年 |
Johnson & Johnson | 2.62% | AAA | 59年 |
Pfizer | 2.44% | A+ | 12年 |
Home Depot | 2.27% | A | 12年 |
PepsiCo | 1.88% | A+ | 49年 |
【DGRO】セクター比率
金融と情報技術が大きく、この2セクターで全体の4割を占めるのが特徴です。同じ連続増配ETFであるVIGと比較しても構成比率には差が見られます。VIGは金融や情報技術の代わりに資本財・サービスおよび一般消費財の占める割合が高めになっています(詳細はVIGの記事を参照)。
この違いがVIGとDGROのパフォーマスや強み・弱みが異なっている要因でしょう。

【DGRO】株価推移
2014年の設定以来、順調な右肩上がりの株価推移を継続しています。文句なく長期保有に向くチャートをしています。

【DGRO】最大下落率(暴落耐性)

【DGRO】暴落局面での回復速度
DGROがコロナショック前の最高値$43.13を回復するのに要した期間は約9ヶ月です。同時期にVIGが最高値を回復するのに必要としたのは約6ヶ月なので、暴落局面における強さはVIGに軍配が上がりそうです。
それでも米国高配当株ETFのVYMは約11ヶ月、SPYD及びHDVは約13ヶ月と比べると、高い回復力を示しています。

【DGRO】トータルリターン(配当含む)
連続増配株ETFは傾向として高配当株ETFよりも高いトータルリターンが期待出来ます。実際に、VYMよりも高いリターンを残しています。
さらに特質すべきは、同じ連続増配株ETFであるVIGに対してもトータルリターンで優位に立っている点です。

【DGRO】配当金推移
DGROは連続増配株ETFの名前を冠する通り、2014年設定以来途切れることなく6年間連続増配を継続しています。美しい右肩上がりの増配傾向です。

【DGRO】増配率推移
DGROの魅力の一つが高増配ETFであることです。
『連続増配』は必ずしも『高増配』ではありません。実際に日本で一番有名なVIGの増配率は高配当ETFであるVYMよりも低い水準に留まっています。
連続増配銘柄の選出基準は「増配期間」で「増配率」ではありません。従い、増配率が高くなくても不思議はないのですが、DGROの場合は幸運にも高増配です。
増配率を重視する投資家にとって、DGROはVIGに対して優位に立っています。
DGRO | VIG | VYM | |
2016 | 3.24% | ▲8.80% | 2.79% |
2017 | 7.44% | 15.68% | 8.60% |
2018 | 14.86% | 6.18% | 10.42% |
2019 | 14.85% | 4.72% | 7.17% |
2020 | 10.55% | 7.62% | 2.46% |
平均 | 10.2% | 5.08% | 6.29% |
【DGRO】配当利回り推移
DGROの配当利回りは連続増配ETFとしては比較的高めです。ライバルであるVIGの直近10年間の平均配当利回りが1.65%で、基本的に2.0%を超えることがないことを踏まえると、DGROの平均配当利回り2.20%は魅力的です。

【DGRO】まとめ
VIGより知名度で劣るDGROですが、その設定以来のパフォーマンスはVIGを圧倒する内容になっています。
具体的には、トータルリターン・配当利回り・増配率でVIGに勝っています。経費率はVIGが僅かに0.02%低いですが、DGROはVIGの上位互換とも言える成績をこの過去7年間は残しています。
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