【3分解説】VTIやVOOとVYMを比較検討してみよう

VTI,VYM比較検討 海外ETF

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【本記事を読むと分かること】
①VTI、VYM、VOOの違い
②どのような基準で選べば良いのか

投資初心者が米国ETFに投資をしてみたいと思った時に、まず名前が上がるベーシックな選択肢がVTIやVOO。そして、次点でVYMです。いずれもバンガード社が運用会社の超優良ファンドであり、どれを選んでも優秀な長期投資の柱になってくれるでしょう

この3択の中で悩むのは贅沢な悩みなのですが、VTI、VYM、VOOの特徴を比較してどちらに投資すべきかを考えてみたいと思います。この記事を書いている私のプロフィールは以下の通りです。

■本記事を書いている人
✅Twitter(@gonfox21)でも情報発信
✅20代で金融資産4,300万円達成
✅米国ETFで資産運用(SPYDVYMSCHDHDV

私はVTIやVOOには投資していないのですが、どちらに肩入れすることもなく比較検討していきますのでご安心ください(オルカンですがインデックス投資もしています。また、昔は先進国株式投信で米国にも投資していました)。比較検討の行き着く先をネタバレすると、どちらが良いかは各個人の置かれた環境と長期投資のゴール次第です。私の場合はVYMを手段として採用したわけですが、この身銭を切る前提で考え抜いた過程の中でVTIやVOOの方がベターな選択肢になる人も数多いと私自身感じたのでその内容を本記事でまとめるものです

【基本概要】VTI・VOO・VYMの比較

(2023年1月2日時点)

  VTI VYM VOO
運用会社 バンガード社
設定日 2001年5月31日 2006年11月16日 2010年9月9日
純資産額 2,620億米ドル 500億米ドル 2,630億米ドル
配当利回り 1.52% 2.84% 1.55%
信託報酬 0.03% 0.06% 0.03%
銘柄数 4,026 443 503
出典:Yahoo finance, Bloomberg, Vanguard  

【VTI・VOO・VYM比較】上位10銘柄の特徴

(2023年1月2日時点)

特徴としてはVTIやVOOは現在の米国経済の主役である新興企業が上位に名前を連ねるのに対して、VYMは昔ながらの米国大企業が多いです(連続増配年数が30年を超える企業は赤字)。VTIは米国市場全体であり、VYMはその中から配当利回りが平均以上の銘柄のみピックアップした指数なのでVYM銘柄はVTI銘柄に内包される関係性になります。また、VOOは時価総額の切り口で上位500社を米国企業群からセレクトした指数に連動するのでやはりVTIに内包される関係です。

  VTI VYM VOO
1 Apple Inc.  Johnson & Johnson Apple Inc.
2 Microsoft Exxon Mobil Corp.  Microsoft
3 Alphabet (Google) JPMorgan Chase & Co.  Alphabet (Google)
4 Amazon Chevron Corp. Amazon
5 Berkshire Hathaway Procter & Gamble Co.  Berkshire Hathaway 
6 Tesla Home Depot Inc. Tesla
7 UnitedHealth Group Eli Lily & Co.  UnitedHealth Group 
8 Johnson & Johnson AbbVie Inc. Johnson & Johnson
9 Exxon Mobil  Pfizer Inc.  Exxon Mobil 
10 JPMorgan  Merck & Co. Inc. NVIDIA

VTIに配当というフィルタリングをかけたのがVYMと言えます。新規投資の領域が広い新興国企業とある程度市場のパイを取り終えた老舗企業では、後者の方が配当金を出す傾向にあるのでVYMはGoogle, Apple, Facebook, Amazon,Microsoftのようなグロース銘柄を含みません。この違いがトータルリターンや配当利回りにどのような違いを生むのかに注目です。

VOOはVTIに『経済規模』でフィルタリングをかけたものになります。上位銘柄の顔ぶれはゆえにほとんど同じですが、上位銘柄の影響力がVOOの方がVTIよりも強く出るのが特徴ですしかし、米国株式のリターンは上位500社(さらにいうとGAFAMにような一握りがほとんどを叩き出しているのが実情でリターンの面ではVTIもVOOも大差がありません。

【VTI・VOO・VYM比較】トータルリターン

VTI(赤線)とVYM(青線)を2007年1月に$10,000投資(配当金は再投資)したら現在までにいくらになったかを図示したのが以下になります。

VYMとVTI比較(トータルリターン)
  最終金額 CAGR Best Year  Worst Year
VTI $34,504 8.18% 33.45% ▲36.98%
VYM $29,926 7.21% 30.08% ▲31.91%

VTIが年間にして1%程度リターンで優位に立つ結果となり、約15年間の運用期間で$34,504-$29,926=$4,578(約55万円)の差を最終収益でつけました。やはり、資産形成の効率性の観点ではVTIに利があるようです。VYMはグロース銘柄を含みませんので、新陳代謝が活発で時代ごとに経済の牽引役が変化する米国市場においてはその時々で一番のリターンを上げる新興企業の成長は取り込みずらいことや、配当金を極力出さない(含み益)形で課税を繰り延べるVTIとの税効率の差がこの1%の差に繋がるものと思われます(米国経済が日本化して老舗企業が永遠に主役という構造転換が起きない限り)大きな枠組みとしてVTIの方がトータルリターンで勝るという傾向は簡単には崩れないでしょう

直近12年間(2011-2022)の比較

2010年に設立されたVOOも含めた近年のトラックレコードも載せておきます。主な注目点としては①過去10年単位のリターンはあまりにも出来過ぎていた、②VYMが意外にもVTIをアウトパフォームしている。

VTI,VOO,VYM比較
  最終金額 CAGR Best Year Worst Year
VOO $38,444 11.88% 32.39% ▲18.19%
VYM $37,282 11.59% 30.08% ▲5.91%
VTI $36,751 11.46% 33.45% ▲19.51%

1点目について、VOO、VTI、VYMの全てが年間平均リターンで11%超というのは客観的に見て出来過ぎな期間であったなと思います(株式の期待リターンは5%程度が妥当と言われているので)。2007年からのチャートで見た時にVTIとVYMの年平均リターンは7-8%だったことを踏まえても今後10-20年間のリターンは過去10年間よりもずっとマイルドなものを期待しておく方が良いと思います。

また、2点目のVYMがVTIをアウトパフォームしている理由ですが、2022年にあります。この年は2011年以降では、この3ETFにとって最悪の1年間でした。それ以前はVOOのみならずVTIもVYMより優れたリターンでしたが、それまでの貯金差が2022年のダメージ差でカバーしきれなかったのがVTIとVYMの関係になります。

上記の銘柄一覧を見れば分かるようにVOOやVTIのリターンが配当銘柄中心のVYMを上回っていた最も大きな要因は過去10年間はGAFAMのような新興成長企業(グロース銘柄)の時代であったためです。もし、2022年がサイクルの転換期でグロース銘柄のリターンが配当銘柄に劣後していく10年間が今後続くのであれば短中期的にはVYMがVTIやVOOをアウトパフォームする期間になるかもしれません

筆者
筆者

しかし、これは経済サイクル事象(≠経済構造の転換)、長期的にはVTIやVOOがVYMをアウトパフォームする関係は不変というのが私の中でのベースケースであることには変わりません。

【VTI・VOO・VYM比較】配当利回り・増配率シミュレーション

【VTIとVOOは内容にほとんど差がないので、見やすさの観点から比較はVTIとVYMで行います】

算出には直近10年間(2012-2021)の配当利回りと増配率の平均値である以下を前提に試算してみたいと思います。増配率ではややVTIが優勢ですが、1%以上の配当利回りを逆転するには不十分でありVYMの配当利回りをVTIが上回ることはホルダーの存命中はないでしょう。つまり、配当利回りはVYMに分があります。

  配当利回り 増配率
VTI 2.06% 9.29%
VYM 3.16% 8.92%
VYM VTI比較検討(配当利回り,増配率)
  1年目 5年目 10年目 15年目 20年目
VYM 3.16% 4.45% 6.82% 10.45% 16.02%
VTI 2.06% 3.01% 4.83% 7.75% 12.45%

【VTI・VOO・VYM比較】まとめ

ざっくり一言で言うならば、トータルリターンの傾向で言えばVTIやVOOの勝利。配当金の最大化であればVYMの勝利となります。私が考えるトータルリターンの最大化と配当金の最大化のメリット・デメリットは次の通りです

  メリット デメリット
トータルリターン重視 効率的な資産増 資産取り崩しが必要
定期的な収入がない
配当金重視 資産取り崩しが不要 非効率な資産増
定期的な収入あり(利益確定)

上のメリデメ表をみて自分はトータルリターンの最大化を目指すべきだと思えば、VTIやVOOが適切な投資対象になるでしょうし、配当金の最大化を目指すべきと思えばVYMが最適でしょう。具体的な判断のアプローチとしては『トータルリターンの最大化』にデメリットを感じるかという質問にどう自分は答えるかを考えてみると良いでしょう。

デメリットが許容範囲内(理想はデメリットと感じない)の場合はVTIやVOOを選ぶ。逆に、デメリットを強く感じるようであればVYMを選ぶというのが分かりやすいと個人的には感じます。

【ケース①】
資産形成期で定期的な収入は特に必要ない。加えて、引退期の資産取り崩しも抵抗なくできると思う人⇨VTI、VOO
【ケース②】
引退期に相場低迷などのリスクを考えると自分で取り崩す自信がない人⇨VYM。

そもそもVTIやVYMやVOOは長期投資向けの金融商品(短期投資や資産運用期間が長く取れない引退間際の世代向けではない)ことを踏まえると定期的な収入を配当金に頼る必要がある人は限られるでしょう。すると、出口戦略の準備・実行ができるかが判断の分かれ目だと思います。準備に関して言うと心理的負荷が判断の重荷にならないかです(取り崩しに合理的整合性があっても資産残高を減らす作業には抵抗感を持つ人もいるでしょう)。そして、実行に関して言うと年齢を重ねた自分の認知能力に自信があるかどうかも大切です。人は衰えます。30-40代では間違えない簡単なことが70-80代になると難しくなります。これは肉体のみならず情緒(自制心)・判断と思考能力にも及びます。

どこまで突き詰めるかですが、出口戦略を最後までハンドリングできる人はVTIやVOOが良いですし、資産形成上の非効率というデメリットと引き換えに出口戦略の不確実性を排除しておきたい人はVYMが良い選択肢になると思います。これは決めの問題だと私は思います。

なお、冒頭でも触れたとおり、どれも超優良なETFです。(ここまで色々と検討しておきながら言うのもあれですが)どちらを選んでも間違いではないと私は思うので、この非常に高度なレベルで迷うぐらいなら早く行動に移す方が100倍大切だと思います。

筆者
筆者

どちらを選んでも悪くない選択になる場合、ベストを追い求めて厳密に検討するよりも早く始める方が重要だったりします。時間をかけて最善手を選ぶ人よりも、次善手を素早く実行に移せる人の方が投資では上手くいくと思います。悩んで投資期間が短くなれば、その時間が機会損失であるといえるからです。

上記のデメリット・アプローチでも迷いが解消されない人は、投資とは何か?という問いからVTIやVOOとVYMのどっちがしっくりくるのか考えてみることを提案します。投資とは寄付ではなくリターンを期待してお金を企業に預ける行動です。つまり、リターンを得るのが目的です。

このリターン獲得方法の違いが、VTIやVOOとVYMの最も大きな特徴の違いになります。前者はキャピタルゲインの形で後者は配当金の形で投資家に利益還元します。そもそも、なんで利益還元に方法がいくつもあるんでしょうか?どちらか一方が例外なく最善解なのであれば、もう一方が現代社会に残ってるのは変だと思いませんか?

これはどちらにもニーズがあることを示唆しています。あなたのニーズはどちらに当てはまるのか、より納得感が強い方を選ぶというのも一つのアプローチだと思います。この考え方についても需要があれば記事にしたく思うので、下記の応援クリックにて教えて頂けるとありがたいです!

また、VYMよりもVTIやVOO寄りのスタンスだけど、この2銘柄でまだ悩むという方に向けてはこちらのような考察記事も書いております。

筆者
筆者
 

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