投資で大きくな失敗をしないためには、投資の相場感覚を養うことが大切です。
私達は普段の生活の中で、あらゆる物事の相場観を磨いています。例えば、ペットボトル150円のお茶は普通だな、スーパーで98円だと少し安いな等々。
普通のお茶が1,000円で売られていたら、誰も購入しようとは思いません。しかし、投資の話になると、途端に私達は相場観がないばかりに、ペットボトルのお茶が2,000円で売られていても、それが高いのか安いのか分からなくなります。
本日は、投資の相場観を磨く上で鍵となる6つの数字を紹介します。
米国株式市場の年間平均リターン
米国の代表的な指数にS&P500があります(米国のTop500社の株式を時価総額比率に応じて保有したポートフォリオ)。
米国株式市場の富の大部分は、このTop500社が生み出しているので、S&P500のリターンこそが概ね市場平均点であると言えます。
そして、ある株式のリターンが良いか悪いかは、この平均点と比較して判断することになります。
過去10年間のS&P500の平均リターンは約7%であり、歴史的にも5-7%の間に収まります。
株式は比較的リスクの高い投資対象ですが、そのリスクの対価として得られるのが概ね5-7%というリターンなのです。
この相場感覚を身につけていれば、月利30%(年間リターン3,600%)や資産を毎年2倍(年間リターン100%)を謳い文句にする投資商品は何か怪しいと分かるはずです。
投資で得られる年間リターンは3-5%程度であると理解しておくのが無難です。
金融のプロが市場平均に勝つ確率
以前の記事でも紹介しましたが、金融のプロでも市場平均リターン(5-7%)を継続的に上回る事はほぼありません。
それでも”金融のプロ”が自分の戦略に基づいて運営する投資ファンド(一般的にアクティブファンドと言います)にかける個人投資家は後を絶ちません。
アクティブファンドの80%は5年以内に市場平均に負けるという事実を分かった上で、競馬やカジノを楽しむような感覚でお金を投じているのなら止めはしません(パチンコ通いの人に経済合理性を説くのと同じく無駄な議論だからです)。
ただ、資産形成の一環として上手くいくと考えてお金を賭けるのであれば、実際に投資を始める前に、もう少し情報収拾を行うことをオススメします。
このブログでも、「慎重さ」と「勇気」を兼ね備えた個人投資家の皆さんをサポート出来るような情報発信に努めていければと思っております。
投資の神ウォーレンバフェットの年間平均リターン
ウォーレン・バフェットは、”賢人”の二つ名を持つ投資家なら誰も知っている史上最高の投資家の一人です。
その投資センスで築いた資産は約9兆円と言われております。そんなバフェットが運営するBerkshire Hathawayは投資家に向けてその投資リターンを公開しています。
この公開情報によると、Berkshire Hathawayの過去45年間(1964-2019)の年間平均リターンは約20.3%です。
投資の世界で天才的な実績を長きに渡り継続している、バフェットでも1年間で資産を2倍や3倍にする事は現実的ではないのです。
高利回りをアピールする投資商品を見かけたら注意しましょう。天才が膨大な学習量と集中力を発揮して実現する数字が年利20.3%という数字なのです。
一般人が対象の投資商品で、バフェット並の投資成果を約束する商品があれば、それはほぼ間違いなく詐欺です。
資産が2倍になるのにかかる年数(72の法則)
ここまでの段階で、投資で得られる妥当なリターンは楽観的に見積もっても年間5-7%だと学びました。
投資を始めると気になるのが、どれくらいの期間でどれくらい資産が増えるのかです。
投資で資産が2倍になるまでにかかる期間は、実はシンプルな式で計算できます。
例えば、年間リターンが5%の運用を続ける場合、72÷5=14.4年かかるという訳です。
72というのが不思議な数字で、自分の期待リターンから簡単に資産が2倍になるまでの年数が分かります。
年率5%の運用というのは一見地味ですが、14年待てば資産を2倍に出来るリターンなのです。複利効果が働くからですね。
資産運用は14年かけて、2倍にするのが相場だと心得ましょう。
投資費用の相場(0.2%以下に抑える)
個別企業の株式や債券への投資は普通の個人には難しいと思います。安易に手を出している方も見かけますが、本来であれば個別銘柄の投資は財務諸表や業界動向に対する深い分析があって可能となるものです。
従い、投資を趣味にできる人でなければ、投資信託やETFといった資産運用ファンドに投資するのが賢明だと思います。
しかし、投資信託やETFといっても中身はピンキリです。そして、そのほとんどが投資検討にも値しないゴミ商品というのが実態です。
このゴミ商品を選ばないようにするための一つの方法は、その投資信託やETFを購入・保有するのに費用に注目することです。
優良の投資信託やETFは販売手数料の無料が基本です(ノーロードと言われます)。そして、投資信託及びETFを保有すると信託報酬が発生します。
これはファンドが資産運用をするための対価(代金)になります。優良と呼べる水準は年間0.2%以下が私の考える水準です。
つまりは、合計費用が0.2%以下の投資信託やETFから選ぶのが基本ということです。合計費用が年間1%を超えるようであれば、それは払い過ぎです。
資産運用残高のシェア(世界3大資産運用会社)
マスメディアや銀行・証券会社が勧めてくる投資商品は無数にあります。
車を購入する時を想像してみてください。あなたはきっと「その商品(車)はどこのメーカーのものだろう」と気にするはずです。聞いたこともないメーカーなら、そんな車に数百万円も使うのは止めようとなるはずです。
これから、あなたの大切な資産を運用するのであれば、車の購入以上に慎重になるべきです。
資産運用は100万円運用しようが、5,000億円運用しようが手間は大きく変わりません(運営や売買に必要な人数は資産運用額と関係ないからです)。
規模の経済が働くので、資産運用額が大きくなればなるほど、人件費や運営コストに対する利益は大きくなります。
つまり、投資の世界はお金持ちの資産運用会社の方が、より優秀な投資信託やETFを作れるということです。

資産運用の世界では米国の3大企業(ブラックロック・バンガード・ステートストリート)のシェアが圧倒的です。この3大会社で世界の運用資産の約7割を占めます。
第1位のブラックロックの運用資産残高は日本円で約250兆円になります。日本発の投資信託などは数百億円程度ですから桁が違います。
数百億円程度の資産運用残高の投資ファンドではなく、この世界三大資産運用会社の商品から選ぶのが無難だと思います。
ブラックロック・バンガード・ステートストリートが自動車メーカーで言う所の、トヨタ・フォルクスワーゲン・GM(ゼネラルモーターズ)なのです。
まとめ
資産形成の基本は「倹約」にあり、投資はあくまで安全慎重に守備的であるべきだと私は思います。
投資を始めた際や、投資を継続していくにあたり私が心がけているのは、高いリターンをあげることよりも負けないことです。
私は米国株式市場を投資の中心に据えていますが、米国株投資が素晴らしいのは、米国市場の長い歴史の中で幾度となく暴落を繰り返していますが、15年間以上投資を継続した場合は必ず収支がプラスになっていることです。
これは何を意味しているか。投資の世界では、正しい市場に長期に渡り居続けることができれば高い確率で充実した資産形成が可能です。
欲を欠くことなく、今回ご紹介した6つの数字を羅針盤に進めば、まだ馴染みのない投資の世界でも大きな失敗は避けられると思います。
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