楽天証券は最近、保有資産残高に応じて付与する楽天ポイントを改悪したばかりですが、2022年2月1日(本日)に更に衝撃的な改悪内容が飛び込んできました。
楽天カード積立の還元率を1.0%から0.2%に変更する(2022年9月買付分から)
楽天カードで積立(上限:5万円)をすると、1.0%還元されるのが最大の魅力でした。投資信託を毎月積立する資産形成の中で最大500P(5万円✖️1.0%)もらえるなんて棚からぼた餅も良いところでした。これを目当てに楽天証券で資産形成を始めた人もいたはずです。
ここに手をつけた衝撃は大きく、楽天証券からSBI証券やマネックス証券に切り替えようという声が既に聞こえ始めています。
ただ、結論から申し上げると楽天キャッシュ決済積立(新制度)に移行すれば今年いっぱいは還元率1.0%が最低でも維持されますので猶予期間はあります(なお、一部の人は獲得ポイントが増えます)。それ以降は、改悪になる人もいますが、冷静に次の一手を考える余裕が残されています。
今回はこの改悪内容および新制度の概要につき解説します。また、それを受けて個人投資家はどう振る舞うべきか私なりに考えたことをご紹介します。
改悪内容
投資信託を保有すると、信託報酬という手数料を払うことになります。信託報酬は委託費・販売費・受託費の3項目から構成されるのですが、このうち販売費の項目で0.4%未満の安い投資信託は還元率を現状の1.0%から0.2%に減らすのが今回の改悪です。

自分の投資信託が改悪対象かどうかを確認する方法
楽天証券の投資信託の購入ページに掲載のある、投資信託の詳細情報(例は楽天VTI)にある運用管理費用(信託報酬)を確認してください。この中の販売の項目の費用が0.4%未満の投資信託が改悪対象です。楽天VTIは0.055%<0.4%なので改悪です。

影響を受ける主な投資信託
改悪対象となる投資信託はこちらから確認できます。結論から言えば、皆さんが資産形成のために積立をしているような投資信託は限りなく全て改悪対象となっています。
一部の方に朗報なのは、楽天レバレッジNASDAQ-100(レバナス)およびiFreeレバレッジ NASDAQ100は改悪対象外です。
【新制度】楽天キャッシュ決済積立とは
楽天Payや楽天Edyにチャージされた残高を楽天キャッシュと言います。この楽天キャッシュでも投資信託の積立ができるようになる制度です。楽天カードでチャージして楽天キャッシュを入手する時にポイント還元(0.5%)があるので、『この楽天キャッシュで投信を積み立てれば、この0.5%の分だけ銀行口座残高で投信を購入するよりお得』というのが新制度の主張ですね。
以下の公式イラスト説明が、またすごく分かりにくい!
①楽天カードチャージで0.5%分の楽天ポイントを還元します(上限は5万円)⇦ここまでが新制度の話
②今なら期間限定で、このクレジットカードでチャージされた楽天キャッシュ残高で投信積立した金額に対しても0.5%還元します。⇦これは期間限定キャンペーンの話
5万円✖︎0.5%(楽天キャッシュにチャージ)=250P、5万円✖️0.5%(楽天キャッシュ積立)=250P。つまり合計500Pが当面の還元上限。要約すると、本段落の冒頭のまとめになるわけです。

【積立金額5万円以下の場合】改悪後のポイント還元率は0.5%
楽天キャッシュ決済積立開始と楽天カード積立改悪の別々の2つの話を同時に発表したため、『結局ポイント還元がどうなるの?』という顧客が一番気になる質問に対する答えが見えづらくなっています。
『今後は楽天カード積立(改悪版)と楽天キャッシュ決済積立の2種類が利用可能になる』というのが今回のニュースのもう一つの見方です。毎月の積立金額が5万円以下の人は両方できないので、楽天キャッシュ決済積立に切り替えるのが正解です。
『(積立金額的が5万円以下でどちらかの積立方法を選ばないといけない場合)楽天カード積立を継続する人には0.2%しか還元しません、楽天キャッシュで積立してくれたら0.5%の還元です(2022年12月まではキャンペーンで+0.5%して合計1.0%)』というのが今回の発表内容の骨子だと思います。
つまり、2023年以降も楽天キャッシュ積立にすれば0.5%の還元は確保できると思います。SBI証券のクレカ積立還元率も0.5%ですから、SBI証券の方が還元率が高いという訳ではなさそう!
さらには、レバナス勢はクレカ積立で引き続き1.0%の還元対象ですから、SBI証券より楽天証券でのクレカ積立を継続した方がお得ということです(楽天キャッシュ決済積立も無視)。
【積立金額5万円以上の場合】改悪後のポイント還元率は実質0.7%
楽天キャッシュ決済積立(上限5万円)と楽天カード積立(上限5万円)の併用が可能です。カード積立5万円(今後5万円✖︎0.2%=100P)とは別に銀行口座残高から投資信託を更に5万円以上積立してた人は、この5万円に対して楽天キャッシュ決済積立(5万円✖️0.5%=250P)を設定するイメージです。
つまり、250P(楽天キャッシュ決済積立)+100P(楽天カード積立)=350Pが還元されることになります。投資元本は10万円なので還元率は350/10万円=0.35%になります。
ただ、ポイント還元と無関係に元々積立していた5万円を超える部分は、ポイント計算の分母に入れないと考えるのであれば、350P/5万円=0.7%の還元との解釈もできるかもです。
なお、インデックス投資家の方々もキャンペーン期間中は600P(500P+100P)もらえることになるので、今よりもポイント還元を受けられることになりますね。
今回の改悪を受けて投資家はどうすべきか?
ポイント還元の観点では多くの人(毎月5万円を上限に積み立てしていた人)にとって1.0%→0.5%の改悪です(0.2%ではない!)。楽天カード積立をやめて楽天キャッシュ決済積立に切り替えれば0.5%(通常還元)は今後も確保できるでしょう。
なお、レバナス勢は引き続き1.0%還元を楽天カード積立で得られるので影響はないです。それどころか楽天キャッシュ決済積立(任意の投信5万円)と楽天カード積立(レバナス5万円)を併用できる人の、ポイント還元上限は500Pから750PにUPです。
私のように低コストのインデックスファンドを積立していた人にとっては、確かにショックですが、乗り換えるほどの衝撃かと言われれば、私はそんなでもない気がしてきています。
そして、実はこんな工夫の仕方(インデックス積立を維持しながらクレカ積立の還元率1.0%を維持する方法)もあるよというのを以下の記事でまとめました。
中には『マネックス証券なら1.0%還元だし、度重なる改悪で楽天は信頼できない。だから今のうちに乗り換える』という意見もあるでしょう。
しかし、私は『資産形成においてポイント還元は本質ではなく、もらえたら嬉しいなぐらいの枝葉』だと思っています。
ポイント還元は企業利益からの持ち出しで、それだけで見れば経費でしかありません。SBI証券やマネックス証券だって楽天証券に追随して、クレジットカード積立を始めただけです。改悪が両証券では起こらない保証はどこにもありません。
このあたりも踏まえて、最終的な判断を各々が下されるのが良いと思います。ちなみに、私は面倒くさいのでNISAの切り替え等は現段階では考えていないです。
移行がナンセンスと言う主張ではないので、そこは誤解なきようにお願いします。ただ、判断余地はあると思うので、空気に流されて行動してしまうのはナンセンスだと思うので、『自分で考える』をまさに試されていると今回のサプライズで私は感じました。ぜひご自身にとって最適な判断を自分で下してください。
コメント