なぜ投資するのか(貯金だけでは駄目な理由)

本記事は筆者が、将来子供に投資の必要性を分かりやすく説明したいと思ったことがきっかけで書いております。
筆者は27歳時点で資産1,000万円を超えた現役投資家です。ゼロから3年間でここまで増やしたので、その経験や考え方からお伝え出来ることが多々あるかと思います。
今回は同じテーマでは2本目の記事で1作目がこちらになります。
日本ではお金の話をすることは一般的に下品とされ好ましくない話題とされます。
一方で、筆者が知る限り欧米では基本的な金融リテラシーについて学校でも勉強しますし、中華系の家族では『お金』というのはごく一般的な食卓の話題です。
個人的にはこちらの方があるべき姿だと思います。なぜなら、過去記事でも書いた通り、社会で生きる限りにおいて皆平等にお金の世界でのプレーヤーなのです。
スポーツや文化芸術は自分の好き嫌いで『する・しない』を選択することが出来ます。
『しない』と決めたことはルールや基本も勉強する必要はありません。しかし、お金は残念ながら生まれながらに強制参加させられる競技なのです。
しかも他の競技同様にルールを知らなければボロ負けすることは確実です。
そして、『投資』は難しく感じるから『貯金』だけで良いというのは、サッカーで『自分は一生懸命とりあえず走るので戦術とか技術は一切入りません』と宣言するようなものです。
サッカーは90分ですが、お金は80年以上プレーするものです。
本当に戦略や技術は不要でしょうか?
本日は戦略と技術を身につけた国民(アメリカ人)とただひたすら一生懸命走る国民(日本人)がこの30年でどのような結果を残したかをありのままお見せします。
米国と日本の金融資産構成の違い
日本人は貯金で金融資産の大半を持つのが当然であり、投資は何か特別なもの(一部の人がやるもの)だと思っています。
これは日本で普通なだけであって、海外に出れば貯金しかしていない方がむしろ普通ではないことに気づきます。

上の図表は日本銀行の研究レポートから参照したデータです。
日本人は金融資産の50%以上を現金(保険まで入れると81.9%)で保有しています。
この数字は日本人の肌感覚にしっくりくるものであり、当然な気がしてしまいます。
しかし、アメリカ人はわずか12.9%のみが現金で、46.3%は投資運用に回しています。
アメリカ人が投資に回す金融資産の割合は日本人の3倍です。
この数字を見るとリスクをとるのが好きな米国人と保守的な日本人というありがちな一般論に終始してしまいそうですが、そうとも言えません。
日本人の現金オンリーの歪な金融資産構成の方がリスキーという見方もあります
この興味深い話題も掘り下げたいですが、本日は本記事の主題である、日本人と米国人の金融資産構成の違い(投資するかしないか)がどのように両国民の道を分けたかを見ていきましょう。
日本人とアメリカ人の豊かさはこう変化した

国民の生活の豊かさを測る指標とされるGDP per Capitaの30年間の推移を並べたものになります。
日本がバブル期を迎えていた1990年はほとんど差がありませんでした。
しかし、それから30年が過ぎた2019年には肉眼でも違いがはっきり分かるレベルにまで拡大してしまいました。
ニューヨークやロンドンを歩く日本人観光客が『何もかもが高い』と唖然とする光景をよく見かけます。
筆者も確かに高いと思います。ただそれ以上に、正しい解釈は『アメリカ人が30年間豊かになり続けたのに日本人は反対に貧しくなったのでアメリカ人が買えるものを日本人が買えなくなってきている』と言うのが正しいと思います。
両国のGDP per Capitaの差分がこの30年間で約2.8倍になった事実は重たいです。
自分が現状維持でも周囲のレベルが上がれば、やがて貧しくなります。例えば、先進国の首都圏で日本人が経済的に泊まれるホテルがどんどん少なくなっています。
ホテルからすれば欧米人や中国人が高い値段設定でも泊まってくれるので日本人に合わせる必要はないからです。
30年前は東京もニューヨークも物価に大きな差はなかったそうです。
それが今や、アメリカ人は日本に来て『(何もかもが安くて)日本は最高だ』と満足できますが、日本人はニューヨークで同じことが出来ません。
国内だけ見て現状維持で問題ないと思っていても1万円の価値は確実に下がっています。
それでは、なぜこの差がついたのでしょうか?
パッと思いつくのは経済成長力の差ですよね。単純に米国経済は成長し続け、日本は失われた30年を歩んできた。
自分達も米国に生まれていれば、その恩恵を受けていたはずだと。
その可能性は日本よりも高いと思います。しかし、米国でも貧富の格差は大きく、この30年で給料が上がっていないアメリカ人は沢山います。
この事実を踏まえてもう一歩踏み込んで考えるべきだと思うのです。
明暗を大きく分けたのは投資する(出来る)人と投資しない(出来ない)人の差だと筆者は思います。
同じアメリカ人でも投資する資金や知識を持たない人は、投資することを知っているアメリカ人と経済力の観点では全く別のグループです。
このことは2011年のウォールストリート街占拠事件が物語っていますね。
米国の上位1%の収入は過去20年間(2007年時点)で275%も増えたのに、全体の60%に相当する中間層は40%で、貧困層に至っては18%としか増えていないことに対して、全体の99%を代表する普通のアメリカ人が猛抗議を繰り広げたのです。
このようにアメリカ人と日本人の富は二極化しましたが(アメリカ人の大勝ち)、アメリカ国内に目を向けると、その富は更に二極化しているのです。
統計的データは作れませんが、筆者が確信を持って言えることがあります。
貧困層の15倍の勢いで富を蓄えた上位1%のアメリカ人は、間違いなくお金のルールに精通して技術を磨き戦略を持っていたはずです。
それはつまり投資なのです。
この米国20年の事実が物語るのは、投資をした人がお金持ちになったと言うことです。
投資による富の偏在を知ってどうするか
筆者はウォールストリート運動については同情的です。問題提起をしたことにも価値はあると思います。
しかし、自分達にも富を配分させるようにルールを変更したとしても、その新しいルールの中で新しい勝ち組と負け組が生まれるだけだと筆者は思います。
上位1%のアメリカ人の中には汚くずる賢い手段で富を蓄えた人もいるでしょう。
しかし、全員がそうなのでしょうか?
筆者は、不満や負の感情に流されるのではなく、現実を適切に分析した上で自分の人生を良くするためには何が出来るのかを真摯に考えるべきだと思います。
自分で考えて行動する以外に人生を変える方法はないからです。
筆者が受け止めた現実は次の通りです。
①経済格差は必ず存在する
②給料は上がらないのに長時間労働を強いられている
③短い労働時間で豊かな暮らしを送る人がいる
④お金持ちは遅かれ早かれ投資を行っている
筆者は新卒1年目の辛い業務環境の中でどうしたら人生が変わるかを鬱になりそうな環境の中でこれらのことを考え抜きました。
その過程の中で本日紹介した、データにも辿り着き、『投資』を避けていては豊かになれないと自分なりの結論を出したのです。
そして、投資という具体的な行動に移りました。
現代はIT技術の進化やインターネットの発展の恩恵もあり、昔なら確かにお金持ちが独占していた投資機会を普通の人が持てるようになっています。
この現実を踏まえた時に、ふと思いました。
ウォールストリートを占拠した人達は、本当に全員がお金について学ぶ努力を真摯に行なっていたのだろうか?
自分が豊かにならない(貧しくなっている)と不満や嘆きばかり述べている日本人は本当に投資のことまで学ぼうとしたのだろうか?
(給料が安い時代に生まれた)日本人だって成長国への投資で収入を増やすことは出来ます。
まとめると、先進国で暮らす国民には(学習機会の不平等はあれど)情報が掴めるのであれば等しく豊かになるチャンスがあります
つまり、現代社会は無知な状態では生きづらいけど、学べば自分の努力で豊かになれます。
この世から格差がなくならない残酷な現実がある。一方で、豊かになる方法は万人に開かれている現実もそこにはある。
だから、『厳しい経済格差の現実を知ったのであれば、不満や文句で貴重な人生の時間を使う前に自分で格差を埋めるための努力や投資の勉強に時間を使おうよ』というのが筆者の考え方です。
コメント