【想定読者】投資を始めたいが何から手をつければ分からない方
【結論1】銘柄分散されたポートフォリオを長期で積み立て保有しよう
【結論2】初心者には国債や低コストの投資信託(インデックスファンド)が安心
投資と投機の違いを学ぶ
昨今は年金2,000万円問題などもあり、日本人の間でも投資への関心は高まっているように思います。投資はギャンブルであり上手くいけば儲かるがハイリスクであるという固定観念が強く残っていると思います。また、投資は金持ちの道楽であると。私の父や祖父母もその一人で、週5日一生懸命汗水流すことで確実にもらえるお金以外は、全部運任せのギャンブルであるという考え方の人でした。
しかし、これは投資と投機を混同した間違いであると言えます。投資は会社やビジネスが長期的に成長していくことに賭けるのに対し、投機は短期的な未来予想のあたり外れに賭けることです。ややこしいのは、競馬やカジノのように分かりやすいギャンブルだけでなく、「投資」の名前がついていても投機である場合があります。この後者の投機が投資と誤解されたことで、日本では投資=ギャンブルという極端な固定観念に繋がったのだと思います。
例えば、トヨタ自動車の将来性を信じてトヨタの株を長期保有し、トヨタの事業から生まれる利益の還元を受けるのが投資です。ですが、トヨタの株が1週間後に上がりそうと予想して、1週間後に上がれば儲かる(下がれば損をする)というトヨタ自動車の将来性やビジネスと関係ないところで儲けようとするのは投機になります。
勿論、投資でも損をすることはあります。しかし、投資で賭けているのはトヨタ自動車の将来性であり、事業成長のために一生懸命働くトヨタ社員の汗水に対してなのです。
この汗水が生んだ会社の利益(元手から増えた分)の一部が投資家の儲けになります。
一方で、FXなどの投機は利益を生みません(しかも元締めが鞘を抜くので、全体のお金は減ります)。従い、他人の損失(元手から減った分)が投機家の儲けになります。元手が増えない中でお金を参加者の間で再分配する投機は、多くの人が損をすることでしか儲けが出ない仕組みであり、まさにギャンブルです。
これが投資と投機の大きな違いです。
自分の大切なお金を賭ける判断をする際の第一歩は、この投資と投機の違いをきちんと理解することです。
投資対象を学ぶ
伝統的且つ主要な投資対象である次の4つ(株式・債券・不動産・投資信託)の特徴を説明したいと思います。
初心者にオススメ出来るのは、国債と投資信託です。
株式
株式の保有者は、企業が生んだ利益の一部を受ける(配当)or 値上がりした株を売却することで購入価格との差を利益として受ける(キャピタルゲイン)ことによって投資の対価を得ることが出来ます。
株からのリターンは事前に分かりませんが、大きな利益が得られる可能性が特徴です(大きく損をする可能性もあります)。一般的には年間5%程度の収益を期待できると言われています。
株式投資の判断をするには、財務諸表を読んで企業の財務状態・収益性・将来性を分析する能力が不可欠なので、初心者がいきなり始めるには向きません。
債券
債券は国や企業があなたから借金する代わりに、利子を乗せて返済することを約束する証明書です。国が発行するものを国債、企業が発行するものを社債と言います。証明書を持っている投資家は返済を受ける時に、+αで利息を受け取ります。この利息があなたの利益になります。
特徴としては、最初にリターンを国や企業が約束しています。つまり、①国や企業が破綻しない②あなたが途中で権利を売らない、限りにおいては債券購入時にリターンが確定しています。
また、リターンは信用度が高い(より安全な)国や企業の債券ほど低く、信用度が低い債券ほど高くなります。
日本国債や米国債は、最も安全な投資先の一つとされており、リスクフリー資産と言われています。リスクを全く取りたくない初心者に国債は向いています。
社債については株式同様に優良なものから粗悪なものまで千差万別です。初心者が適切に社債を選ぶのは難易度が少し高いと思います。
不動産
不動産投資は少額で始めるのが困難ですが、軌道に乗れば高いリターンを安定的に享受できるとされており、一般にとても人気が高い投資対象です。
しかし、不動産は次の理由から最も難易度が高い投資の一つで、初心者にはおすすめしにくいです。
①投資規模が大きくローンを組むことになるので失敗した時のダメージがでかい。
②相対取引となるため個人投資家には大きく不利。
③再現性がない(他人の成功を参考に出来ない)
①は文字通りですが、②と③に解説を加えます。株式・債券・投資信託との比較で考えましょう。まず、これらの金融商品には市場(マーケット)が存在します。マーケット取引は沢山の人間が売買に参加しているため、価格の公平性が保たれやすいことがメリットです。
例えば、投資家Aが、ある株が下がりそうな情報(例えば70円→50円)を掴んだとします。投資家Aは損をしたくないので、70円で売る注文を市場でします。しかし、投資家Bも同じ情報を掴んでおり、早く売りたいので60円で売り注文を出します。すると60円で同じものが売られていると買い手がつかないので、投資家Aは60円より低い値段で注文し直さないといけません。
このようにして、最終的には妥当な50円まで価格が下がります。
つまり、市場が情報の有利不利を最終的には無くしていくのです。個人はプロ(証券会社や投資銀行)に比べて情報面で圧倒的に不利です。しかし、市場を通じて取引をすることで弱い立場の個人も情報不足が理由で損をするリスクを抑えることが出来るのです。
一方で、不動産には純粋なオープンマーケットがなく、個人と不動産業者が1対1で取引をします。勘の良い人は気づいたと思います。ここで情報面で圧倒的に有利なのは、不動産業者です。本当は2,000万円が妥当な物件を5,000万円で売られても、弱い立場の個人は妥当性の判断が出来ません。
そして、市場ではオープンに取引しているので参加者を優遇・差別することは出来ませんが、不動産業者は一部の仲間だけに良い物件を紹介して、他の人には自分なら買わないような物件を紹介することも出来てしまいます。
このように不動産投資はコネや人脈が重要な取引でもあるのです。なので、初心者が気軽に手を出す分野ではないと思います。
また、不動産投資で成功した人に紹介してもらう・選んでもらうというアイディアもありますが、この世に一つとして同じ物件はないので、その人と同じ投資は厳密には出来ないのです。これが不動産投資に再現性がない理由です。
不動産は勉強することも多く、数字に強いことが重要です。さらに、物件管理の手間もあるので投資というより事業に近いです。
投資信託
筆者は初心者には投資信託をオススメしています。
投資信託は沢山の株式や債券をセットにした詰め合わせパックです(難しい言葉でポートフォリオと良います)。例えば、日本企業の上場株式全部を少しづつ全部買いたいと思っても個人には難しいです(全部で3,600社以上あります)。それを投資信託会社が代わりに行って、パッケージ販売しています。
お弁当のようなもので、コンセプトがあります。お肉が好きな人は和牛・オージービーフ・黒豚入りの弁当を、野菜が好きな人は野菜10種盛りサラダを選ぶというようなイメージです。
投資信託のメリットは、銘柄選択やメンテナンスなど投資で一番大変で難しい作業を代わりにやってくれることです。これなら、プロのように難しい知識がなくても、最低限注意すべきポイントさえ分かっていれば初心者でも十分立派な投資が出来るのです。
初心者の発想は「儲かる株は何か」というものです。しかし、後述のように、投資で成果を出すには、どのようなバランスで資産配分するかということにつきます。つまり、どのようなポートフォリオを持つのか重要です。
お金持ちや投資上級者は複数の株や債券を組み合わせて、自分でポートフォリオを作成しているのです。このポートフォリオを提供するのが投資信託です。
この初心者でも買える投資信託を侮ってはいけません。優良な投資信託にリターンで勝てるプロは一握りなのです(つまり、多くのプロの投資家は優良投資信託に負けているのです)
投資信託誕生前は、優良な投資は一部のプロとお金持ちにしか実現不可能なものでした。それを一般の人も体験出来るようにしたのが投資信託なのです。
初心者が投資するならNISA推奨の投資信託から始めよう
前段落で、投資はポートフォリオを保有することが重要であること、優良な投資信託が有力な手段になり得ることを紹介しました。
優良としたのには理由があるのです。残念なことに投資信託の95%以上は購入を検討するに値しないゴミ金融商品だからです。120円のお茶を8,000円で個人に売りつけるようなことが日本では未だに行われているのです。8,000円でお茶を買った人は間違いなく損をします。
日本に正しい投資が根付かなかったのは、こうした日本の金融機関の詐欺行為に大きな責任の一端があると筆者は思っています。
そして、日本国政府も同じように考えているのです。年金2,000万円問題等を背景に初心者も投資を避けて通れない時代が来ている中、事態を重く見た日本政府はNISAという正しい投資を優遇する制度を作りました。
「日本政府はNISAでの投資から税金を取りません(利益は全部あなたのもの)。みんなを応援します。だから、初心者もみんな投資してね」という訳です。
ここでも初心者を騙して、また8,000円でお茶を売りつけようとするのが日本の金融機関です。「NISAという儲かる仕組みを使って、我々のお茶を買いませんか」という訳です。
しかし、今度ばかりは日本政府はこの悪行を許しませんでした。日本政府が投資専門家と検討して優良と認めた投資信託しかNISAでは認めないとしたのです。
つまり、NISA推奨の投資信託とは日本の金融機関が詐欺商品を入れられない日本政府お墨付きの選ばれし投資対象なのです。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/26.pdf<NISA投資信託リスト>
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html<金融庁>
ですから、初心者はこのNISAリストの投資信託から投資を始めましょう。実際に行動してみれば、金融知識が少しづつ身についていきます。それから少しづつ、投資もレベルアップしていけば良いのです。
まとめ(投資とは銘柄分散されたポートフォリオの長期保有)
第1段落では、投機との違いを通じて、投資とは長期で投資先の成長に賭けること(短期で売買しない)であると学びました。
第2段落では、各投資対象の違いを通じて、投資で成果を出すには優良なポートフォリオを保有することが重要であると学びました。
第3段落では、初心者が第1段落と第2段落の学びを活かすには、NISA推奨の投資信託が最適解の一つになり得ると学びました。
まとめると、投資とは銘柄分散されたポートフォリオの長期保有であり、NISA推奨の投資信託が具体的手段ということです。
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